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2022-01-26 04:10
しかし、この栄養状態の改善が、人々の若返りや寿命の延びに寄与してきたのも、1960年くらいに生まれた人たちまでで終わったと私は考えています。実際、日本人の平均身長の推移も、戦後、急速に伸びてきましたが、ここ20年くらいは伸びが止まっています。もはや栄養状態の改善は、日本全体に行きわたり、そのことが寿命の延びを牽引していくという時代は終わっているのです。
しかし実際にその後も、日本人の平均寿命は延び続け、これからも延びていくと予想されています。これは、医学の進歩がそうさせるのです。
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日本人は戦後に劇的に若返ってきた体験をしているので、「人生100年時代」などと言われると、いまよりさらに若返りが可能になり、寿命が延びていくと考える人もいますが、それは正しい認識ではありません。
80歳や90歳になっても、いまの70代の人たちのように元気に活躍できるようになって、人生のゴールがどんどん後ろにずれていくというのは幻想でしかありません。
若返るのではなく、医学の進歩によって、「死なない」から超長寿になるというのが「人生100年時代」の実像です。
伸長した老いの期間を
左右するのが70代になる
80歳にもなれば、みな老いに直面することになります。しかし一方で、寿命だけは延びていく。これは、私たちの人生設計を大きく変えることになるかもしれません。これまではせいぜい10年ほどだった「老い」の期間が、15~20年に延長する人生が標準になっていくからです。
今後は、伸長した老いの期間をどう生きるかが重要な課題になっていくでしょう。そして、その延長した老いのあり方を左右するのが、人生終盤の活動期である70代ということになります。
寿命がますます延びていく「人生100年時代」だからこそ、70代はますます重要性を増してきているのです。
本書では、運転免許を返納してはいけない、肉を食べる習慣が「老い」を遠ざける、運動習慣などの「老いを遅らせる70代の生活」、70代の人のかしこい医師の選び方などの「知らないと寿命を縮める70代の医療との付き合い方」、趣味を働いているうちにつくろう、高齢者の「うつ」の見分け方などの「退職、介護、死別、うつ……『70代の危機』を乗り越える」について紹介しています。
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『70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い』 和田秀樹著 詩想社刊 1100円(税込)
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