格言の発言者
相場格言「人の行く裏に道あり花の山」の発言者は、はっきりとは判明していませんが、一説では、あの千利休が詠んだ「人の行く 裏に道あり 花の山いずれを行くも 散らぬ間に行け」
という句の、上の句ではないかと言われています。
もし千利休が詠んだ句なのであれば、この句を後世に伝えたのは千利休と親交のあった博多商人の島井宗室、もしくは堺商人の今井宗久ではないかとも考えられています。
格言の意味
「人の行く裏に道あり花の山 いずれを行くも散らぬ間に行け」を現代語訳すると、
“きれいな花を求めて山に行くのであれば、誰も行かない裏道を行った方がいい。しかも、きれいな花が散らない間に行くのがいい。”
という意味になります。
つまり、“人が多い道を避けて裏道を行くと、誰も知らないきれいな花の山がある”ということです。
これは、ただ裏道を探して歩けばいいというわけではなく、誰も行かないような道でも足を踏み出していけるという勇気が必要だという意味です。
ここで、みなさんが初めて訪れた場所を歩いているときにふと、「お腹が空いたなあ…」と感じたとします。
そんなとき目の前に
・「長い行列ができていてお客さんでいっぱいになっているレストラン」
・「お客さんがまったく入っていないガラガラであるレストラン」
の2つがあったとすると、どちらのレストランが美味しそうと感じるでしょうか?
おそらく多くの方が、前者の“長い行列ができていてお客さんでいっぱいになっている”レストランの方が美味しそうと感じるのではないでしょうか?
初めて訪れた場所であることからそれぞれのレストランについては何も知らない状態なので、前者に関しては「行列ができているからそれだけ美味しいに違いない」、後者に関しては「ガラガラで誰も入ろうとしていないから美味しくないのかも」といった推測をするかと思います。
私たちは、このように大勢の人のなかにいて同じ行動をすると安心することから、他人の行動を信用してはそれに乗っかってしまいがちです。
食事場所を探すときも行列に並んで期待値は高まっていくものの、食べてみると意外とそこまでという経験をされたことがある方はいらっしゃるのではないでしょうか?
実は株式投資の場面でこの考えで動いていると、大きな利益を取りこぼしてしまうこともあるので、注意が必要です。
そこで、この相場格言を株式投資に当てはめると「他人があまりとっていないような逆の行動を素早くとってこそ、大きな利益を得ることができる」といった意味になります。
「逆張り」というトレンドに逆らって利益を狙う発想を象徴している格言ともいえますね。「逆張り」とは、簡単に言えばそろそろ上昇と予想すれば、下がっていくところを逆に買う行動に出ること。当然最初は買ってマイナスが出ます。そこを勇気を持って買い漁るんです。
- 利益を得る第一条件
相場格言が教えてくれる大きな利益を得るための第一条件は、「ほかのトレーダーと真逆の行動をとる」ということです。
もちろんこういった行動をとることはすごく勇気が必要です。
というのも、自分の資金という大切なものが懸かっているからです。
たとえば、一般的なトレーダーの方は株価が下落傾向にあるときは慎重になり、これから上昇傾向に入りそうなときに株を買う傾向があります。
(下図参照①)
すると、それをずっと続けていると図1のように安いうちに買うことができずタイミングを逃し、高値で買うことになるので大きな利益を上げることはできません。
では、相場格言の教訓を知っているトレーダーの方ならどうするでしょうか?
株価が下落していてもうすぐ下げ止まりそう、ということをチャートの動きからしっかりと分析できれば、あらかじめ買いを仕込んでおくことをは難しいことではありません
(図②当サイトにて作成)
図2のように、株価が下げ止まることを見越して買っておいたことで株が安値で手に入り、その後大きく上昇したことによって大きな利益を確定させることができました。
このように「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言は、1人だけ勇気を持ってほかの人とは違う方法をとることで、花の山(大きな利益)を手に入れるができるという教訓を与えてくれています。
格言を生かすべきシチュエーション
では、実際にこの相場格言を生かすべきシチュエーションを紹介します。
《世界的にピンチの相場》
2016年6月24日にイギリスが国民投票をしてEU離脱を決定したとき、市場ではEU残留が予想されていたのでそれに反した結果が下されたことから、日経平均株価を含む世界中の株価が急落したということがありました。
一般的なトレーダーの方であれば、この状況に陥ると保有している株を手放して損切りをしようとするのがほとんどではないでしょうか。
しかし、これらの急落した株価はその後すぐに回復しました。
つまり、このような世界的に相場が急落していて多くのトレーダーが株を手放しているこの「ピンチ」時に株を買うことこそが、相場格言でいう「裏に道あり」です。
一見ピンチに見える株価急落ですが、相場格言を知っている方からするとそれは「チャンス」でもあるのです。
一概に同じシチュエーションで同じことをすれば儲かるということを保証するものではありませんが、常に先の先を読んでトレードするというのはとても大事なことです。
そして、当然ながら先の先を読むために必要な知識と技術をしっかりと身に着ける、というのも大切ですね。
そうした技術を身につけるためには、プロの再現性の高い手法を身につけることが近道です。
まとめ
- 「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言は千利休が詠んだ上の句であるという一説がある
- 「ほかの人と同じ行動をするのではなく裏をかいて違う行動をすることこそが、大きな利益に繋がる」という意味
- ピンチをチャンスとして見れるかどうかが大切
ほかの人と違う行動をとるというのは不安でたいへん勇気が必要な行動ですが、株式投資ではそのような行動力こそが実を結びます。
大勢の人の動きの便乗するのではなく、いったん冷静に考えて事実を吟味することも大切です。