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2023/3/22 5:10 (2023/3/22 6:06 更新)
【NQNニューヨーク=戸部実華】21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比316ドル02セント(1.0%)高の3万2560ドル60セントで終えた。米金融当局が金融システム不安の拡大防止策を続けるとの観測が強まり、市場心理の改善につながった。金融株や景気敏感株など幅広い銘柄が買われた。
イエレン米財務長官は21日朝、米国銀行協会のイベントで「中小銀行が預金流出に陥るようなら預金保護が正当化されうる」と述べた。「状況は安定しつつあり、米国の銀行システムは健全性を保っている」とも指摘した。市場では「必要となれば金融当局が緊急対応に動くとの見方が投資家に安堵感をもたらした」(ジョーンズ・トレーディングのマイケル・オルーク氏)との声が聞かれた。
金融システムが不安定化するとの懸念が和らぎ、金融株への買いが目立った。JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスが3%高となった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、ファースト・リパブリック・バンクが30%高で終えるなど、地域銀行株も軒並み買われた。
銀行危機が景気を冷やすとの警戒も後退し、景気敏感株や消費関連株も買われた。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスやスポーツ用品のナイキ、建機のキャタピラーが高い。米原油先物相場が上昇し、石油のシェブロンは3%上げた。
買いの勢いが弱まり、ダウ平均は伸び悩む場面もあった。米連邦準備理事会(FRB)は22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めるとの見方が多い。ただ、金融システム不安の高まりを受け、参加者らの政策金利見通しやパウエル議長の記者会見の内容を見極めたい市場関係者が多い。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前日比184.571ポイント(1.6%)高の1万1860.109で終えた。約1カ月ぶりの高値。電気自動車のテスラが8%高となった。ネット検索のアルファベットやネット通販のアマゾン・ドット・コムも買われた。
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