バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

ホンジュラス、台湾と断交 中国が国交結び米台にくさび


 
 
#中南米 #中国・台湾
2023/3/26 10:53 (2023/3/26 16:31 更新)
ホンジュラスは台湾と外交関係のある国の一つだった(台湾の蔡英文総統、22年12月)=総統府提供
台北=龍元秀明】台湾の外交部(外務省)は26日、中米ホンジュラスと断交したと発表した。ホンジュラスは同日、台湾に代えて中国と国交を樹立した。台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は29日から、約4年ぶりに米国や外交関係のある中米2カ国を訪問する。その直前の動きで、中国が米台連携にくさびを打つ形となった。

ホンジュラス政府は25日(現地時間)「中華人民共和国が中国の唯一の合法政府と認め、台湾とはいかなる関係や接触も持たないと約束する」との声明を発表した。中国外務省は26日の声明で「ホンジュラスの立場を称賛する」とした。

台湾の蔡総統は26日、断交について「大変残念だ」とのコメントを発表した。その上で「中国はここ数年、様々な方法で台湾を抑え込み、地域の平和と安定に影響を及ぼしてきた」と述べた。

台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は同日、記者会見を開き「(ホンジュラスは)長年の支援や友好関係を無視した」と批判した。80年以上続いた外交関係が終わることを「深く悲しみ、落胆している」とした。

さらに呉氏は、断交のタイミングが蔡氏の中米外遊直前となったことについて「中国が(水面下で)意図的に動いた疑いがある」と指摘した。外交部によると、ホンジュラスは台湾との断交を決める直前、唐突に約24億5000万ドル(約3200億円)もの経済援助を求めてきたという。

その中身について呉氏は「(経済支援というより)直接の金銭要求に感じ、それは賄賂と同じだ」と批判した。

台湾はホンジュラスへの経済支援などの協力プログラムを即刻打ち切り、大使館を撤収する。

ホンジュラスでは2022年1月、親中派のシオマラ・カストロ氏が大統領に就任した=ロイター
ホンジュラスでは2021年、親中派とされるカストロ氏が大統領に当選したのを機に、風向きが変わった。22年1月に開いた大統領の就任式には、ハリス米副大統領と台湾の頼清徳副総統をそろって招待し、当初こそ米台に配慮をみせた。だが、カストロ氏の親中姿勢はその後も変わらなかった。米台連携による必死のつなぎ留めにもかかわらず、今回、中国の攻勢に米台が敗れる形となった。

対中強硬路線をとる民主進歩党民進党)の蔡政権が16年にスタートして以降、中国は台湾と外交関係のある国に対し、攻勢に出た。台湾に代えて中国と国交を樹立するよう呼びかけ、急ピッチで動いた。

台湾が外交関係を維持するのは南米パラグアイなど世界で残り13カ国となった。蔡政権発足後の約7年間で9カ国減った。

直近では19年に南太平洋のソロモン諸島キリバス、21年に中米ニカラグアが相次ぎ台湾と断交した。「断交ドミノ」に歯止めがかかっていない。


蔡氏は29日から、米国を経由する形で、ホンジュラスの近隣にある中米グアテマラベリーズの訪問を予定する。数少なくなった外交関係のある中米諸国を訪問し、米台で連携して、引き続きつなぎ留めを図る狙いだ。

米国の台湾窓口機関である米国在台湾協会(AIT)は26日の声明で、「中国は各国との約束をないがしろにした例があまりに多い。米国は台湾との交流を引き続き深化させ、拡大する」とコメントした。

親中路線をとる台湾の最大野党・国民党は26日、「断交は深く遺憾だ。(蔡氏の与党)民進党の誤った外交政策により、台湾の利益が損なわれた」との声明を発表した。

台湾は24年1月に次期総統選を控えている。対中政策や米国との連携が焦点となる見通しで、外交を巡る与野党間の攻防も激しくなっている。