バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

気楽に犯罪を重ねるベトナム人

警察を怖がらず、気軽に犯罪を重ねる…日本の田舎が不良ベトナム人「ボドイ」の標的になっているワケ
2023年3月30日 08:00
PRESIDENT Online

「ボドイ」と呼ばれる不法滞在ベトナム人の犯罪が増えている。『北関東「移民」アンダーグラウンド ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪』(文藝春秋)を書いた中国ルポライター安田峰俊さんは「国別の犯罪件数では、中国を抜いてベトナムがトップになっている。技能実習制度の負の側面であり、根本的な解決は難しい」という。ライターの國友公司さんが聞いた――。

愛知県小牧市内、当時30代後半の日本人女性を無免許運転の上でひき逃げして逃走し重傷を負わせたボドイ(技能実習先から逃亡したベトナム人)の自宅を訪ね、同居人たちからの聞き込み後に記念撮影をした筆者。 写真=筆者提供
「在日中国人」は成熟しすぎた
――安田さんといえば、大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞した『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)や『性と欲望の中国』(文藝春秋)など、中国ライターの印象が強いですが、最近は在日ベトナム人をよく取材されていますね。

安田峰俊】もともと2014年あたりから在日ベトナム人には目配りしていましたが、大きな要因はやはりコロナです。2017年に習近平第二期政権が成立してから、中国本土で政治的な社会問題に触れる取材をすることがいっそう難しくなりました。ただ、中国本土に行かずとも、香港なり台湾なり、もしくはアフリカなど海外の華人社会をウロウロしていれば全然問題はありませんでした。

 
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でもコロナ禍が起きて、そもそも海外に渡航できなくなりました。なので、国内取材にシフトしなければならなかったのですが、当時の僕にとって在日中国人は、正直に言えば「いまさら」面白いと感じる対象ではなかったんですよね。

――「在日中国人」が面白くないとは、どういった理由からでしょうか。

【安田】私が彼らを見慣れすぎていて、サプライズがない(笑)。また、ある意味、彼らはもう成熟してしまったんです。20~30年前だったら、日本で大金を稼ぐために必死になる中国人がたくさんいました。その副作用として、犯罪が起きることもあれば、うさんくさい訳の分からない行動をおこなう人もいました。

全人民が豊かになったわけではありませんが、中国という国家がそれなりに豊かになり、彼らが変なことをしなくなったんです。気付いている人は少ないですが、2020年から在日外国人の犯罪件数は国別で見るといまやベトナムがトップなんですよ。

もちろんゼロではないですが、以前と比べて中国人が変なことをしなくなった。犯罪にしても知能犯めいたものばかりで、カオスさは感じにくい。そうなってくると、まさに30年前ぐらいの中国人のポジションが、今はベトナム人に置き換わっているんです。


技能実習先から逃げ出した“ボドイ”たち
――今回の『北関東「移民」アンダーグラウンド』は、おどろおどろしい装丁ですが、よくあるアングラ暴露本ではなく社会問題をまともに扱った「濃い」ノンフィクションでした。在日ベトナム人といってもいろいろな人がいると思いますが、どんな理由で日本に来ていることが多いんでしょうか。

【安田】在日ベトナム人労働者は今45万人くらいいるんですが、そのうちの半数弱が技能実習生です。次に多いのが留学生の労働者で約11万人。建前はともかくとして彼らは実質的に労働者です。

――技能実習制度の本来の目的は、「発展途上国の若者らに日本の優れた技能や技術を学んでもらい、母国に持ち帰って母国の発展に寄与すること」でしたよね。


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【安田】本当に日本で学ぶことを目的として来ているのはごく一部です。どうやらボドイ(ベトナム語で「兵士」の意)と自称する技能実習先から逃亡した不法滞在者ベトナム人たちが存在することは、以前から知っていました。コロナが始まったばかりの2020年5月くらいから、日本にいる外国人が干上がっているという話を聞き、各地を取材すると、そのボドイたちの困窮や暴走が見えてきたんです。

同年の夏あたりから、北関東を中心に豚などの家畜が盗まれる事件が相次ぎましたが、いつも取材の際に通訳をしてもらっているベトナム人のチー君が、テレビで放送されている監視カメラの映像を見て、「安田さん、これベトナム人ですよ」と言ったんです。たしかに、いまの自分ならチー君と同じことを思ったはずです。



プレジデント社でインタビューに応じる安田峰俊氏 撮影=プレジデントオンライン編集部
――報道されていた監視カメラの映像には顔にモザイクがかかっていたはずですが、なぜベトナム人だとわかるんでしょうか。

【安田】豚を抱えて歩いている姿がもうベトナムの労働者っぽいんですよね。ちょっとモサッとした感じというか。あとは短パンにTシャツという服装ですよね。「真面目に」窃盗をやる人は、こんなラフな格好はしない。その後、2020年の10月26日に「群馬の兄貴」が逮捕され、北関東に多くいるボドイたちを取材するようになりました。


車を線路上に放置し、列車が衝突し炎上する大事故
――「群馬の兄貴」は連続家畜窃盗事件の主犯格の疑いがあるとして逮捕されたボドイですね。結局、同事件との関連は認められなかったようですが。

【安田】そこから「群馬の兄貴」が住む兄貴ハウスなど、ボドイたちが共同生活をしている隠れ家にアポなしで突撃を繰り返すようになりました。ベトナム人が好みそうな、ビール、米、アヒルライギョなどを持って、「一緒にどう?」と言えば、アポなしかつ初対面でもそのまま家に上げてくれるんですよ。そういうことを続けていたら、何気なくニュースで見かけた事件が、「これ、もしかしたらボドイの仕業じゃないか」とわかるようになってきたんです。


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――本書にも登場する2021年3月に起きた列車衝突事故も、状況を記した新聞記事から「ボドイの仕業」とすぐにわかったそうですね。

【安田】そうですね。これは、無免許運転の車がJR常磐線のフェンスを突き破って線路上で立ち往生して車をそのままにして逃走し、そこに常磐線普通列車が衝突し炎上。首都圏の幹線である常磐線の一部が、2日にわたってまひしたというかなりの大事故です。

新聞によれば、事故を起こした車両はその日後部ライトを付けずに走っていて、警察に追跡されていました。速度を上げて逃げ切るも線路に突っ込み、車両を放置して逃走しています。もう、この報道を見ただけで「ボドってる」感じを受けたんですよね。普通に考えれば、線路上に事故車を放置して立ち去るなんて、明らかに悪手です。


犯罪だと知らずに罪を犯しているケースも
――たしかに、日本人の感覚からするとあり得ない行動パターンですよね。「ボドってる」行動の傾向というか、ボドイに共通する特徴はあるんでしょうか。

【安田】基本的には何も考えていないボーっとした人が多いです。彼らは後先を考えずにとりあえず技能実習生になり、事前にものを調べず日本に来たらあまりの低賃金にがっかりして、再び後先を考えずに逃亡する。そして、バクチで借金を作って犯罪に巻き込まれたり、何も考えずに無免許運転をおこなって人をはねたり電車を炎上させたりしている。明確に「俺を搾取した日本社会に復讐してやろう」とか思っているわけではありません。なにも考えていないがゆえに大事件が起きる