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最低賃金、地方底上げ 厚労省が引き上げ区分見直し


 
#経済
2023/4/6 18:35 (2023/4/6 22:10 更新)
最低賃金はパート・アルバイト時給に大きく影響する
厚生労働省は6日、最低賃金引き上げの目安を示す区分(ランク)を4つから3つに減らすと決めた。現行方式になった1978年度以来、初めての見直しになる。区分を減らして地域間の格差を是正し、日本全体の賃金底上げにつなげる狙いだ。

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同日の中央最低賃金審議会厚労相の諮問機関)が取りまとめた。同審議会は毎夏、最低賃金の引き上げ目安額を決め、各都道府県で秋に適用する。今夏に決める2023年度から3区分制に切り替わる。

現行の目安額は各都道府県をA〜Dの4つのランクに分けて示す。東京都や大阪府などがA、沖縄県高知県などがDとなっている。目安額はAからDにかけて低くなるのが通例で、都市部と地方の最低賃金の差が広がる要因になっている。

22年度は最も高い東京都の時給は1072円で、最も低い沖縄県などは853円だった。219円という差は02年(104円)に比べると2倍以上に広がった。賃金格差が広がれば、地方から人材が流出し、すでに人員確保に苦しむ地方が一段と厳しい状況に陥る。

これに歯止めをかけるために3区分制を導入した上で、経済指標だけでなく各地の労働者数も加味して区分を決める。3区分制では、Aは東京や大阪など6都府県で変わらないものの、Bには北海道や岡山県、福岡県など現行制度ではCだった自治体が入った。

3区分制のBは28道府県とA〜Cで最も多かった。労働者数ではAとBで全体の9割を占めるため、全体の賃金水準は押し上げられる見込みだ。

連合の清水秀行事務局長は「目安制度の信頼性向上に資する。地域間格差是正の第一歩となりうる大きな見直し」と評価した。


最低賃金が日本全体の賃金に与える影響は大きい。最低賃金の改定後に賃上げが必要になる労働者の比率をみると、21年度は16.2%と12年度から11ポイント超上がった。北海道や東北、九州地方などが目立つ。雇用形態別では最低賃金の水準近くで働く非正規やパートタイムの賃上げにつながりやすい。

賃上げは日本経済全体にとって大きな課題となっている。岸田文雄首相は3月に開いた政府と経済界、労働団体の代表者による政労使の会議で、最低賃金の全国加重平均を22年度の961円から4%高い1000円に引き上げる目標に言及した。