バンブーズブログ

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米機密文書流出、過大なアクセス権原因か 州兵の男逮捕


 
#バイデン政権 #北米
2023/4/15 2:00
FBIに逮捕されたジャック・テシェイラ容疑者=ロイター
【ワシントン=中村亮】米連邦捜査局(FBI)は13日、米国の機密流出に関与した疑いで空軍州兵に所属する男を逮捕した。国防総省が男に機密閲覧へのアクセス権を過大に認めていたことで、流出につながった可能性がある。流出の発見も遅れるなど、安全保障に関する情報管理体制の不備が露呈した。

【関連記事】米機密文書流出、空軍州兵の21歳男逮捕 不正送信の疑い
ガーランド司法長官は13日の声明で、FBIが東部マサチューセッツ州の空軍州兵に所属するジャック・テシェイラ容疑者(21)を逮捕したと明かした。「許可を得ずに機密扱いの国防情報を移動、保持、送信した疑いの捜査に関連して逮捕した」と説明した。

米CNNテレビによると、FBIは数日間にわたり容疑者を監視下に置いていた。13日の出勤時に逮捕しようとしたが、出勤しなかったため自宅周辺で容疑者を拘束した。容疑者は14日にもマサチューセッツ州の地裁に出廷する見通しだ。

焦点の一つとなったのは容疑者が機密にアクセスできた背景だ。米紙ワシントン・ポストは世界の機密を集めた国防総省の内部ネットワークへのアクセス権を容疑者が持っていたと報じた。容疑者はマサチューセッツ州の基地で情報部門に携わる技術者とみられる。

13日、米マサチューセッツ州でFBIに逮捕されるジャック・テシェイラ容疑者=WCVB-TV・ABC・ロイター
同紙は政府当局者の話として、州兵の任務の一つに連邦軍の米兵などの支援があり、情報面のサポートを含むと指摘した。容疑者がこうした任務に関わっていれば、国防総省のネットワークから機密を閲覧できたとみられると伝えた。

国防総省のライダー報道官は13日の記者会見で、高度な機密にアクセスできる対象者を絞り込んだと明らかにした。容疑者が必要以上に機密を閲覧できていたと判断したもようだ。「情報を共有するリストの精査を続けている」とも語り、さらに絞り込む可能性に触れた。

流出したとされる機密情報はウクライナ軍の訓練状況や同国東部の激戦地バフムトの戦況に加え、中国や韓国、イスラエルなど広範囲に及んだ。

米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長への説明資料が漏洩したとみられている。ミリー氏はバイデン大統領の軍事アドバイザーを務める。容疑者が任務を実行するうえで、ミリー氏と同じ資料にアクセスする必要があったのかどうかは疑問が残る。

機密流出の発見も遅れた。複数の米メディアによると、容疑者はSNS(交流サイト)の「ディスコード」で20人程度のグループに限定して情報共有を始めた。2023年に入ってグループのメンバーが投稿された写真を別のサーバーに投稿。一気に情報が拡散して米政府が流出に気づいた公算が大きい。

オースティン国防長官が機密流出について最初の説明を受けたのは4月6日。それから本格的な調査に着手した。

ライダー氏は「国防総省が米国人やゲームのチャットルームに関連する情報を集めるには法律や政策と整合的で、プライバシーや市民の自由を守るやり方で実施する必要がある」と語った。SNSでも、やり取りを一般公開しない場合は流出の発見は難しいとの見方をにじませた。

機密流出にからみ、偽情報の拡散リスクも浮き彫りになった。米政府当局者は機密の疑いのある資料の一部が書き換えられていると繰り返し説明してきた。

その一例とされるのがウクライナ軍とロシア軍の死者数の推計だ。ウクライナ軍の死者数が米国の推計より多く記載されているが、ロシア軍の死者数は米国の推計に比べて少ない数値になっているという。

容疑者やディスコードの参加者だけでなく、情報が拡散する過程で何者かが書き換えたシナリオが浮上する。ウクライナ軍の士気低下を狙った可能性が指摘されている