バンブーズブログ

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[社説]日韓は安保で信頼を取り戻せ


 
 
#社説
2023/4/17 19:00
地域安保の強化は日韓の緊密な連携が欠かせない(17日の日韓安保対話、ソウル)=共同
日韓両政府は17日、外務・防衛当局による「日韓安全保障対話」をソウルで開き、両国の安保協力の強化に向けて緊密に意思疎通していく方針で一致した。

3月の首脳会談で早期再開を確認した同対話の5年ぶりの実現によって安保分野も修復の軌道に乗ったのは評価できる。対話を積み重ねて緊張が高まる地域情勢への備えに万全を尽くすべきだ。

折しも13日に北朝鮮が新型大陸間弾道ミサイルICBM)を発射した。その際に使ったとする固体燃料は発射の兆候の探知や迎撃が難しい。変則軌道の極超音速ミサイルなども含めて奇襲能力を高める北朝鮮に対処するための日韓の連携が重みを増している。

14日の日米韓防衛当局間協議では、北朝鮮のミサイル発射データを迅速に共有することを確認した。3カ国は共同訓練も重ねている。それらに実効性を持たせるには、安保の最前線に立つ部隊間の相互信頼が前提になる。

その点で自衛隊と韓国軍との根深い不信は心配だ。2018年に韓国艦艇が自衛隊機に火器管制レーダーを照射した問題が元徴用工問題などとともに安保対話や交流が滞る契機となったが、韓国側は事実でないと否定している。

尹錫悦大統領が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化を宣言したのは適切だ。米国の同盟国同士の足並みの乱れは安保の致命傷になりかねない。軍備増強にひた走る中国もにらみ、日韓両政府はレーダー照射問題を速やかに収束させる必要がある。

尹氏の外交政策が野党から批判され、世論調査での支持率も下落している韓国内の情勢は気がかりだ。元徴用工問題では、判決が確定している原告15人のうち5人は解決策に沿った判決金の受け取りを拒否したままである。

日米韓連携を重視する尹政権の安定は地域安保の強化に重要だ。韓国外務省が5人への説得を続けているが、日本政府による元徴用工問題での尹氏への後押しや安保協力の拡大も日本の国益になる。