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2023/5/31 16:30
ヤオコーは2023年3月期までで30年連続で最高益となった
企業業績が堅調に推移している。2023年3月期に純利益が過去最高だったのは全体の4社に1社と、新型コロナウイルス禍以降で2番目の高水準となった。商社などのほか値上げを浸透させる食品で目立つ。30年連続最高益のヤオコーなど連続記録を更新する企業も多い。日経平均株価は33年ぶりの高値圏にある。収益力の改善が続くかが焦点となる。
19日までに23年3月期決算を発表した企業(金融や変則決算などは除く)を対象に日本経済新聞が集計した。会計基準や連結・単独決算の変更は考慮せず単純比較した。23年3月期の純利益が過去最高を更新したのは集計対象の25%にあたる526社。08年の金融危機後で社数、比率ともに最も多かった22年3月期(615社、29%)を下回るものの、新型コロナ禍以降では2番目の高水準となった。
業種別で見ると、最も多いのはサービス(132社)だ。22年3月期から約40社減ったがなお全体の4分の1を占め、苦戦する自動車や化学などと対照的だ。デジタルトランスフォーメーション(DX)需要を取り込む企業が多い。
エス・エム・エスは13年連続で最高益を更新した。介護事業者の業務効率化や財務改善などを支援するクラウドサービスや人材紹介が好調だった。オービックは大手・中堅企業からの基幹業務システムの受注が伸び、11年連続で最高益だった。
円安と資源高の恩恵を受けたのが商社だ。最高益企業は90社に上る。総合商社として純利益が初めて1兆円を超えた三菱商事や三井物産をはじめ、住友商事や丸紅、豊田通商なども最高益となった。海外で権益を持つ液化天然ガスや石炭などの資源価格が上昇し、円安も利益を押し上げた。三菱商事は電力や素材など「資源以外のセグメントで業績が伸びてきている」(中西勝也社長)と話す。
半導体関連も米国の対中輸出規制など逆風が吹くなか業績を伸ばした。アドバンテストは人工知能(AI)などに使う先端半導体向けの検査装置が好調で最高益だった。SCREENホールディングスは半導体製造装置の販売が台湾や欧州を中心に伸びた。東京エレクトロンは「メモリー向け投資は年後半から減速したが、ロジック・ファウンドリー(製造受託)向けは
値上げを浸透させて最高益を更新する企業も多い。目立つのが食品で、国内よりも値上げを進めやすい海外で事業規模の大きい企業が好調だった。キッコーマンは原料高などで国内は振るわなかったが、北米のしょうゆ販売などが好調で10年連続で最高益だった。東洋水産は海外で即席麺の販売数量が伸びた。米国やメキシコではインフレで食品が値上がりし、節約志向の消費者に即席麺が選ばれたという。日清食品ホールディングスは海外で即席麺の値上げが進んだ。
集計対象で10年以上連続して最高益を更新したのは14社。最長は食品スーパーのヤオコーで、単独決算だった時期を含めて30年連続で最高益だった。水道光熱費や人件費が増えたが、総菜を中心に販売を伸ばし増収効果で補った。陸運のセンコーグループホールディングス(12年連続)、医薬品卸のアズワン(11年連続)なども連続記録を更新した。
23年3月期に最高益だった526社のうち、24年3月期も最高益を見込むのは4割の217社にとどまる。23年3月期に最高益だった海運、商社、半導体などで減益を見込む企業が多い。世界的な金融引き締めで23年後半から世界経済が後退するとの見方がある。外部環境に左右されずサービスなどで独自の強みを発揮できるかが課題となる。