バンブーズブログ

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[社説]スマホの「次」を探るアップル


 
 
#ネット・IT #ビジネス #社説
2023/6/11 2:00
米アップルが発表したゴーグル型の情報端末。iPhoneのような市場に育てるには課題が多い
米アップルがゴーグル型の情報端末を発売すると発表した。主力のスマートフォン市場が成熟するなか、新端末を投入して新たな市場の開拓を目指すが、iPhoneの「次」を担う製品に育てるには課題が多い。

一方で、こうした端末を使えば現実の世界と架空の空間を組み合わせた様々な体験ができるようになり、情報のやり取りが一変する可能性もある。端末そのものの開発をはじめ、対応するアプリやコンテンツ、低廉化のために必要な電子部品などで日本企業も活躍の場を広げていきたい。

アップルが来年発売する新端末は高精細の画面を内蔵し、頭にかぶってのぞき込んで使う。複数の画面を視野いっぱいに広げて、ウェブの閲覧やビデオ会議、動画の視聴などができる。

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、スマホに続く新市場をつくると強調したが、普及には時間がかかりそうだ。

まず価格が3499ドル(約49万円)と幅広い人々が使うには高額だ。同様の端末で先行する米メタや、ソニーグループの製品と比べても6倍以上の値段になる。

いかに強いブランド力を持つアップルでも、地道に販売台数を増やして価格を引き下げなければ、iPhoneのような大きな市場には育たないだろう。

アップルは、新端末でスマホを超える体験ができるアプリの開発が可能になるとする。だが2021年に巨大仮想空間の「メタバース」に事業の軸足を移したメタは満足できる結果を出せていない。アップルも新端末の特長を生かすアプリを増やす必要がある。

日本勢では、ソニーがゴーグル型のゲーム端末で一定の存在感を保っている。ゲームや映画といった得意の映像分野での活用にとどめず、産業用途など他の業種とも連携することでアップルに先んじて市場を広げてほしい。こうした端末の低廉化に欠かせない電子部品などでも日本メーカーの活躍に期待したい。