[社説]島しょ国へ寄り添う支援に
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2024/7/22 2:00
岸田首相(前列左から2人目)は太平洋・島サミットで「法の支配」の重要性を訴えた(18日午後、都内)=共同
日本が南太平洋の島しょ国・地域を招いて「太平洋・島サミット」を開き、安全保障や気候変動、経済開発などの協力を盛り込んだ首脳宣言と行動計画を採択した。
海上交通の要所である南太平洋は近年、中国が援助を通じて影響力を強めている。日本は同じ島国として地域の課題解決に寄り添う支援で連携を深め、中国の軍事進出を食い止めねばならない。
サミットは1997年から3年ごとに開いている。新型コロナウイルス禍を経て6年ぶりの対面開催だった今回は、16の島しょ国首脳らとオーストラリア、ニュージーランドが参加した。
岸田文雄首相は参加国を「同じ海を共有するパートナー」と呼び、法の支配に基づく国際秩序の重要性や、力による現状変更への反対を訴えた。中国への対抗を明確に意図したものだ。
具体的には自衛隊の航空機・艦船の派遣を通じた防衛交流や防衛装備品の無償供与を打ち出した。地球温暖化による海面上昇にさらされる各国で気象データ解析や海底ケーブル敷設にも取り組む。
島しょ国側が懸念する東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出については、科学的根拠の重視で一致した。処理水を「核汚染水」と呼び、日本産水産物の全面禁輸といった理不尽な措置を続ける中国と一線を画したことは、大きな成果といえる。
中国は巨額のインフラ支援をてこに2019年以降、キリバスやソロモン諸島、ナウルと国交を樹立し、台湾とは断交させた。22年にはソロモンと安全保障協定を結び、中国軍が事実上の基地として使う懸念が浮上した。
危機感を強める米国は22年に島しょ国と初の首脳会議に臨み、翌年にはソロモンやトンガに大使館を開設した。南太平洋はいまや米中対立の最前線となっている。
昨年はインドや韓国も同様の首脳会議を開いた。サミットの枠組みの先駆者である日本は、これまでの友好関係に安住せず、関与を一段と深めていく必要がある。
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