バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

美味しいマグロたくさん食べたいですね

[社説]クロマグロの資源管理に学べ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/7/29 19:00
 
クロマグロは国際的な規制によって資源が回復し、漁獲枠が拡大される=共同
すしネタや刺し身として人気が高いクロマグロの供給量が増えそうだ。太平洋のクロマグロ資源を管理する国際機関の会合で、30キログラム以上の大型魚の漁獲枠を1.5倍に引き上げることが決まった。2025年から実施される。

多国間の協力で漁獲を規制したことで、数が大幅に増えたためだ。科学的調査に基づいて漁獲枠を決め、管理を徹底すれば、資源は回復するという好例といえる。他の魚種についても国際的な枠組みを築き、持続可能な水産業を目指すべきだ。

1961年に約17万トンいたクロマグロの親魚は乱獲で激減、絶滅が危惧された。2015年に規制が始まり、22年は14万4千トンに回復した。若くて小さい未成魚の漁獲を抑えたことなどが奏功した。

供給が増えれば、値下がりが期待できる。口にできる機会も増えるだろう。だが好転した今こそ、再び減少することがないように努めなければならない。

日本は世界最大のクロマグロの消費国で、資源回復の恩恵を最も受ける。21年に、水産卸会社が漁獲の一部を報告せずに取引したことが発覚した。不正は国際的な信用を失墜しかねない。水産庁は関連法を改正し、漁業者にとった個体数の報告を義務づけた。

とはいえ、日本の資源管理はまだ甘い。魚の種類ごとに漁獲可能な量を設定している。漁獲量が枠に達することはほぼなく、機能しているとはいいがたい。

日本近海のサンマやサバ、スルメイカなどが大きく減っている。海水温の上昇など地球温暖化の影響も指摘されるなか、様々な魚種で資源管理の重要性は増す。

不漁が続いたノルウェーは1980年代に漁師の猛反対を振り切り、厳格な資源管理を導入した。次第に魚が戻り、現在は150カ国・地域以上に輸出する。

「目の前にいる魚はいくらでもとってよい」という時代は終わった。日本の水産業を明るくするため、資源管理に本気で取り組む必要がある。