スゴ腕投資家が伝授 投資のお悩み解消法(3)
#日経マネー #株式投資 #増やす
2023/4/1 5:00
写真はイメージ=PIXTA
株式投資は銘柄を買う前はもとより、買ってからも分からないことや悩みが次々と出てくる。悩みを抱えているのは、初心者ばかりではない。株を売買して何十年というベテランでも同じ課題にぶつかり、レベルアップできていない人は少なくない。では、そうした壁を腕利きの個人投資家はどう克服したのか。『日経マネー』の誌面でもおなじみのスゴ腕投資家8人に、典型的な投資の悩みに回答してもらった。
・第1回 スゴ腕が投資の悩みを解消「投資に使う時間がない」
・第2回 スゴ腕が投資の悩みを解消「何から始めたらいいのか」
【相談】売り時がよく分からない
手持ちの株に含み益が乗っているような時は、どのようなタイミングで利確すればよいのでしょう。(40代男性・宮城県)
回答① 「株価上昇中は保有。下落率が基準を超えたら売り」
まつのすけさん(ハンドルネーム)
投資格言に「損小利大(損失は小さく利益は大きく)」というものがあります。多少、利益が乗っても慌てて売らず、利益をできるだけ伸ばすのは投資で勝つための鉄則です。
とはいえ、まだ株価が上がりそうだと欲張って粘ったけれど、結局、反落。ベストの売り時を逃したというのはよくある話です。
利確も買いのタイミング同様、株価のトレンドは確認した方がよいでしょう。私の経験でも株価が上昇トレンドにあるような銘柄は、売った後も上がり続けるといったことは本当によくあります。
対策としては、株価が上昇し続ける限り保有して、下落に転じたら高値から5〜10%下げたところで売るという方法が考えられます。複数単元の株数を持っているなら、少しずつ利確していく方法も無難でしょう。
利確ではありませんが、自分がその銘柄を買った根拠が消えた場合はトレンドや損益の状況とは関係なくすぐに売るのが無難です。例えば「次回の決算はよさそうだ」と予想してある銘柄を買い、実際の決算はそれほどよくなかった場合、私ならすぐに売ります。
また、短期の投資前提で買ったが、評価損が出てしまった場合に、損切りしたくないので長期保有に切り替えるというのは典型的な大損・塩漬けに至るパターンです。想定シナリオが崩れたら潔く売りましょう。
回答②「客観的な売りの基準を作り、経験を積みながら修正していく」
v-com2さん(ハンドルネーム)
利益確定後に株価が上がり、売ったことを後悔するというパターンが多いと思います。正直、私も最適な売り時はいまだに分かりません。恐らく明確な答えを持っている投資家はいないと思います。試行錯誤をしながら、少しずつ自分に合った売りのスタイルを探すしかないでしょう。
私の投資スタイルは今も昔も「不人気な優待株中心に長期保有し、人気化したタイミングで売る」というものです。何らかの理由で株価が上昇した時に売るのですが、実際には、ある程度の基準を決め、経験を積みながらその基準を修正しています。
例えば、優待株なら優待と配当の総合利回りが〇%を下回るくらいまで株価が上がったら売ると決める。資産株ならPBR(株価純資産倍率)、成長株ならPER(株価収益率)などの指標が何倍を超えたら売るといった具合です。
このような客観的な基準をある程度決め、失敗と成功を繰り返しながら基準を修正してきました。振り返ると失敗したなと思う利確もありましたが、長い目で見れば資産形成が進んでいます。
もし利確が早いと悩んでいるなら、「人間はそもそも利益を早く確定したくなる」ことを実証した「プロスペクト理論」という行動経済学の理論を学んでみると面白いでしょう。早売りしがちな自分自身を見つめ直すことで、改善策が見つかるかもしれませんよ。
[日経マネー2023年5月号の記事を再構成]