[社説]急激な株安・円高に冷静で細心な対応を
#為替・金利 #マーケット #株式
2024/8/5 19:45
企業や市場参加者には中長期の視点からの冷静な対応が求められる(終値で前週末比4451円下げた日経平均株価を示すボード、5日、東京都新宿区)
金融・証券市場が動揺している。5日の日経平均株価は前週末比4451円安と過去最大の下げ幅を記録し、円相場は一時7カ月ぶりの水準に急伸した。米景気の下振れ懸念や日米の金融政策の変化を受け、「日本株買い・円売り」に傾いていた短期の投資マネーの取引が一斉に逆回転した。
株安は韓国や台湾にも波及しており、世界的なリスク回避の発端になるおそれも否定できない。金融当局は資金の流れを注視し、市場の安定に努めてほしい。一方で企業や市場参加者は中長期の視点で冷静な対応が求められる。
日経平均は先週後半から下げ止まらず、3営業日の下落幅が計7600円に達した。昨年末に比べて下落に転じた。
7月末に米連邦準備理事会(FRB)が9月の利下げを示唆した直後から、弱い米経済指標が相次いだ。先週には米ハイテク企業の成長期待が揺らぎインテル株が急落したほか、人工知能(AI)の収益化にも不安が生じていた。中東情勢の緊迫も逆風となった。
そこに急激な円高が重なった。5日の円相場は一時1ドル=141円台をつけ、37年半ぶりの安値から1カ月で20円程度上昇した。今期の主要上場企業の想定レートは平均146円。収益の上振れ期待が後退し輸出株中心に売られた。
日本の財務省は7月中旬、一方的な円安が家計や内需型企業の負担になるとして、円買い介入に動いた。続いて日銀は7月末、円安による物価上振れリスクも意識して追加の利上げに動いた。
円安是正への当局の努力は妥当だったが、国際的なマネーの逆流に拍車をかけ、相場変動を大きくした面は否めない。政府・日銀は企業活動への影響にも目を配りつつ市場との意思疎通に万全を期し、相場安定につなげてほしい。
企業は将来を見据えた設備や人への投資の手を緩めてはなるまい。経営効率の低さは多くの日本企業の課題だ。株式市場は外部環境の影響を受けつつも個々の企業の持続的な成長力を映す場であるはずだ。不透明なときこそ長い視点で投資家と対話すべきだ。
新たな少額投資非課税制度(NISA)を使って投資を始めた人も多いだろう。必要以上に動揺するのは避けたい。投資は変動を伴うだけに、時間を分け、異なる投資先を選ぶ分散が欠かせない。自分のとれるリスクの範囲で長期の資産形成にのぞむ姿勢が大切だ。