経済の軟着陸期待で高値更新
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2024/10/5 5:26 (2024/10/5 5:54 更新)
【ニューヨーク=佐藤璃子】4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比341ドル16セント高の4万2352ドル75セントで終えた。9月30日以来、4日ぶりに最高値を更新した。朝方発表の9月の米雇用統計で就業者数の伸びが市場予想を大幅に上回り、米経済の軟着陸期待から投資家の株買いが進んだ。
ダウ平均の構成銘柄では景気敏感の金融株が上昇率上位に並び、JPモルガン・チェースやアメリカン・エキスプレスが3%超上昇した。セールスフォースやアマゾン・ドット・コムの上昇も目立った。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数も1%上昇した。
9月の雇用統計は非農業部門の就業者数が前月から25万4000人増え、市場予想(14万〜15万人増)を大きく上回った。失業率も前月比横ばいの予想に反して低下し、夏場以降に高まっていた雇用の急速な悪化への不安を払拭する内容だった。
市場では「好調な労働市場が消費を支え、2025年前半にかけて景気の底堅さが続くだろう」(PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのガス・ファウチャー氏)との見方が広がった。
ダウ平均は取引時間中に下落に転じる場面もあった。米連邦準備理事会(FRB)は労働市場の冷え込みを防ぐため、9月に0.5%の大幅利下げを実施した。だが、この日の雇用統計で「もう0.5%の利下げは必要ない」(米証券ジェフリーズのトーマス・サイモンズ氏)との見方が優勢になり、FRBの積極的な利下げ観測の後退が株式相場の上値を重くした面もある。
4日の米債券市場では景気不安と大幅利下げ観測がともに後退したのを受け、安全資産とされる米国債の売りが広がった。長期金利の指標になる10年物国債利回りは一時3.98%台まで上昇(価格は下落)し、約2カ月ぶりの高水準を付けた。
米金利上昇がドル買いを誘い、4日のニューヨーク外国為替市場では対ドルの円相場が下落し、一時1ドル=149円台を付けた。8月中旬以来およそ1カ月半ぶりの円安・ドル高水準となった。
来週の米市場では消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)といった物価指標の発表が注目イベントになる。「好調な労働市場に加えて物価が予想以上の伸びを示せば、FRBが11月の次回会合で利下げに踏み切らない可能性が出てくる」(UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのブライアン・ローズ氏)との指摘もある。
米主要企業の2024年7〜9月期の決算発表も始まり、株高を支える業績面の裏付けを確認できるかが焦点になる。