バンブーズブログ

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中国との関係課題は慎重に解決して欲しい

[社説]日中安定へ首脳対話重ねよ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/10/12 2:00
 
握手する石破首相㊧と中国の李強首相。就任間もない会談は半歩前進だが、懸案の解決は見えていない(10日、ラオスビエンチャン) =代表撮影・共同
日中関係は安全保障、経済ともかつてない困難に直面している。石破茂首相が就任後、間を置かず中国の李強首相と会談したのは半歩前進だ。ただ懸案解決の道筋は全くみえていない。今後も国際会議の場を利用した習近平国家主席との会談など首脳対話を重ね、関係安定を探るべきだ。

石破氏はラオスでの李強氏との会談で、広東省深圳で日本人学校に通う男児が刺殺された事件などについて、事実解明と邦人の安全確保、悪質なSNS投稿への対処などを要求した。

中国側が依然、「偶発的」「個別案件」との基本認識を崩さないのは理解に苦しむ。改正反スパイ法など国家安全法制の強化、未解決の邦人拘束事件を含め、在留邦人の不安が解消できなければ、日本企業の対中投資もますます細る。深刻な事態は続いている。

両首相が確認した「戦略的互恵関係」の推進に向け、閣僚級の「日中ハイレベル経済対話」の枠組みを復活する案は評価できる。それでも原発の処理水放出で中国が停止した日本産水産物の輸入再開がなお実現していないのは残念だ。中国は先の合意を踏まえて早期に決断すべきである。

一方、中国軍の情報収集機による領空侵犯や空母の接続水域航行、中国による日本の排他的経済水域EEZ)内でのブイ設置といった安全保障を巡る問題は、何ら緊張緩和の糸口が見えない。こちらは石破氏が、中国軍の最高指揮官である習氏との直接対話で強く提起すべきである。

石破氏は「アジア版NATO北大西洋条約機構)構想」を持論とする。そこには、日本とアジアの安全保障環境の大きな変化に備える積極的な意味も含まれる。

ただ今回、ラオスで開催した東南アジア諸国連合ASEAN)の一連の会議では直接、言及しなかった。ASEAN内では中国との関係をどう考えるか温度差があり、無理に提起すれば摩擦は避けられない。この局面で持論を封印したのは妥当である。