[社説]セブン取締役会は価値高め最善の選択を
#セブン&アイ買収提案 #社説
2024/10/14 2:00
セブン&アイは買収提案を受け、コンビニ事業への集中で価値向上を急ぐ =共同
セブン&アイ・ホールディングス(HD)がカナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から新たな買収提案を受けた。8月に判明した最初の提案額を約2割上回る1株18ドル強、総額7兆円規模とみられる。
セブンの取締役会は社外取締役の意見を参考に、最初の提案を「(セブン&アイの価値を)著しく過小評価している」として押し返した。今回の提案についても丁寧に検討し、株主にとって最善の選択をしてほしい。
ACTの新たな提案額は現在の為替相場で換算すると約2700円となり、セブン&アイ株の11日終値を2割近く上回っている。現段階で単純に比べれば「著しく過小評価」などと切って捨てることはできないだろう。
セブン取締役が同社の潜在価値がACTの新提案額よりさらに高いと判断するのであれば、現実に株価を高める措置を速やかに講じ、株主に報いるべきだ。買収防衛の王道は企業価値の向上であることを改めて確認したい。
セブン&アイは10日、スーパー事業などの非中核事業を売却し、コンビニ事業に集中する戦略を発表した。井阪隆一社長は「資本効率をしっかり考えて経営することが(ACTからの)提案の価値を上回るすべだ」と語った。複数の事業を営むことで全体の企業価値が毀損される「コングロマリット・ディスカウント」が解消されれば、株主の利益にかなう。
中核事業のコンビニも物価上昇の影響を受け、日本と北米で不調が続く。成功体験に安住せず、消費者の変化に即応したテコ入れ策を急がなければならない。
こうした施策をとってもなお株価が十分に上昇しないとすれば、原因の一端は経営力の弱さにあると解されても仕方ない。取締役会は現経営陣が最適の布陣かどうか、監視機能を発揮すべきだ。
ACTの株価も必ずしも堅調ではない。巨額買収に株主の懸念はつきものだ。ACT取締役会も提案の妥当性などについて、市場の声に耳を傾ける必要がある。
日本の企業風土に合わないとされていた同意なき買収提案の行方は、日本経済の成熟や開放の度合いを見極める試金石として、国内外から強い関心が寄せられる。セブン&アイとACT双方の取締役会が、資本市場の規律に基づき合理的に判断することを望む。