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[社説]少数与党の国会こそ建設的な政策協議を
 
 
#社説 #オピニオン #石破政権
2024/11/28 2:00
 
国会では重要政策をめぐる各党間調整が活発になっている(27日、政治資金のあり方をめぐる衆院与野党協議会)
衆院選後の本格論戦となる臨時国会が28日に始まる。自民、公明両党の「少数与党」での政権運営は厳しさを増す。与野党は日程闘争が中心の旧来型の対決構図を脱し、建設的な政策協議と合意形成にこそ力をそそぐべきだ。新たな国会の姿を示してもらいたい。

石破茂首相は今後の政権運営について「党派を超えて優れた方策を採り入れ、政策を前に進めていきたい」と強調している。少数与党は1994年の羽田孜内閣以来となり、野党の協力がなければ予算や法律の成立は難しい。羽田内閣は約2カ月で退陣した。

2007年の参院選自民党が敗北し、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」となった際は混乱が長く続いた。政府人事の国会承認が滞り、日銀総裁が戦後初めて空席となった。国内外の課題に対処する法改正も遅れ、国民生活や外交力に深刻な影響を与えた。

衆院で与党が過半数割れした今回は、政権運営の難易度がさらに増す。だが懸案が国内外に山積する現状では、国会で不毛な政争に明け暮れている余裕はない。

これまでの自公政権は事前審査で予算案や法案を党がまず了承し、国会提出後の修正は例外的だった。これが野党が政府の不祥事追及と審議の日程闘争に軸足をおく一因になってきた。

衆院で予算委員長などの重要ポストを野党が握ったいま、強行採決などの手段はとりづらくなる。熟議による合意形成がほぼ唯一の解決策となり、これは前向きな変化と捉えることもできる。

与野党の政策調整の歴史では、銀行救済策などを決めた1998年の金融国会、2003年の有事法制、12年の社会保障と税の一体改革などの成功例がある。

野党は責任が増している事実を自覚してもらいたい。キャスチングボートを握る国民民主党は、所得税の控除額の現行103万円からの大幅引き上げ、ガソリン減税などの早期実現を求めている。インフレ調整や一定の物価高対策は必要だとしても、財源は「政府が考えるべきだ」といった態度では責任野党の看板が泣く。

与野党伯仲で責任を共有するいまだからこそ、解決に一歩踏み出せる課題も多いはずだ。政治資金問題にケリをつけ、税や社会保障改革、人口減対策、安全保障の議論を加速してほしい。国民の負託にこたえるには、与野党の柔軟かつ建設的な対応が不可欠だ。