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2025/3/13 2:00
「あのセブンでさえも対応を誤ると買収対象になるのか」。セブン&アイ・ホールディングスに対するカナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)の買収提案は、国内の経営者を震え上がらせた。きっかけとなったのが、アクティビスト(物言う株主)との対立だ。
大株主だった米バリューアクト・キャピタルは2021年、経営が悪化していたイトーヨーカ堂などの売却を求めた。最終的にバリューアクトの要求を受け入れた形となったが、セブンの対応は後手に回って株価と業績が低迷。カナダ社の買収提案を招いた。時価総額6兆円企業の買収劇は、約3800社ある全ての上場企業が買収の脅威にさらされていることを示した。
日本は今、第3次アクティビストブームのさなかにある。アイ・アール ジャパンによると、日本企業を対象に株式を取得して株主提案をするアクティビスト活動をしている国内外のファンド数は、24年に73社と5年間で8割増えた。日本株への投資額は9兆7000億円に達し同期間で2倍になった。
アクティビストの資金の出し手は欧米の年金・大学基金など様々で、リターンの高さから運用資産額が急拡大している。例えば、小林製薬や花王などに投資する香港のオアシス・マネジメントが米当局に報告した運用資産額は57億ドル(約9000億円、24年3月報告時点)と5年で3.5倍に増えた。
経営の本質を突く要求が増加
政府や東京証券取引所の「お墨付き」を得たことも見逃せない。現在の第3次ブームは15年のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)導入で火が付いた。23年の東証による「資本コストや株価を意識した経営」の要請や、経済産業省の「企業買収における行動指針」を受け、経営者は割安な株価を放置することが許されなくなり、買収提案に対しては真剣に対応しなければならなくなった。
00年代の第2次ブームでは短期のリターンを得るため、増配などの株主還元強化を求める提案が主流だったが、近年は経営の本質を突いた要求が増加。アイ・アール ジャパンによると、アクティビストによる株主提案の議案数は24年に202件あり、その内訳は資本効率の改善などバランスシート関連が4割、持ち合い株の解消などガバナンス関連が3割を占めた。
要求内容が変化したことで株主総会で他の機関投資家から賛同を得るケースが増え、影響力は高まった。元タレントの中居正広氏のトラブルを巡っては、米ダルトン・インベストメンツがフジテレビジョンの親会社、フジ・メディア・ホールディングスに事実関係を解明する第三者委員会の設置を求め、世論を動かす先導役にもなった。
みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「現在の日本は1980年代の米国に似ている」と話す。当時の米国はPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業が多く、アクティビストなどが受け皿となって企業再編が進んだ。