[社説]備蓄米放出で価格抑えて安定供給も探れ
#社説 #オピニオン #コメ問題
2025/5/27 19:05
政府備蓄米の随意契約での放出を決めた小泉農相
高止まりする米価を押し下げるため、農林水産省は随意契約による政府備蓄米の放出を決めた。放出が効果をあげ、高米価による家計の負担が一刻も早く和らぐことを期待したい。
これまで農水省は一般競争入札を通して政府備蓄米を放出してきた。だが対象を大手の集荷業者に限定したことで思うようにコメが店頭に出回らず、高米価の是正にも結びつかなかった。
小泉進次郎農相はこうした点を踏まえ、大手小売業者に随意契約で放出する方式に切り替えた。価格は玄米60キログラムあたり1万700円(税抜き)で、入札価格のほぼ半額だ。消費者が5キロあたり2000円程度で買えるようにすることを目指している。
消費者に直接売る立場にある小売りを対象にしたことにも意義がある。割安なコメがすぐ店に並ぶことで、高米価への消費者の不安の払拭につながりやすい。
先高観ゆえに民間の一部で在庫が滞留しているとの見方もある。今回の措置で、そうしたコメが流通に乗る効果も期待される。
米不足をめぐる失言で辞任した江藤拓前農相に代わり、小泉氏は21日に農相に就いた。いままでの手法の限界を見極め、新たな手を打ったことは評価したい。
注意すべき点もある。入札と比べて、随意契約は透明性と公平性で課題がある。対象を大規模な小売業者に絞ったのはやむを得ない面もあるが、安いコメを入手できない他の業者との間で競争力に差が出る可能性がある。
価格の押し下げ効果も見通しにくい。随意契約で放出するコメの量は30万トンで、消費量の一部にとどまる。すでに高値で買ってあるコメを業者がどこまで値段を下げて販売するかは不透明だ。
小泉氏は必要なら無制限に放出する意向を示しているが、随意契約で放出した後の在庫は30万トン程度しかない。これ以上放出が進めば、再びコメが足りなくなったときの備えに影響する。
いま必要なのはコメ政策の再構築にただちに着手することだ。生産を抑えて米価を維持しようとする政策をやめ、増産を基本にするのはその第一歩となる。
価格は需給バランスで決まるのが本筋であり、随意契約による放出は混乱を抑えるための緊急対応だ。稲作経営の安定を含め、主食の供給を持続可能なものにする道筋を示すことを求めたい。
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