[社説]危険なトランプ氏の南アフリカ批判
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2025/5/26 19:00
会談するトランプ米大統領㊨と南アフリカのラマポーザ大統領(21日、ホワイトハウス)=ロイター
トランプ米大統領が南アフリカのラマポーザ大統領との会談で、南アが白人を迫害していると批判した。誤った情報を使って主張した疑いが濃い。事実を軽んじる姿勢は危険というほかない。
トランプ氏はホワイトハウスで報道陣を前に「白人へのジェノサイド(大量虐殺)が進行している」とラマポーザ氏を糾弾した。「証拠」として見せた画像は、南アと無関係だったことが後に分かった。ロイター通信がコンゴ民主共和国で撮影したものだと同社が報じた。
事実確認と検証があまりにもお粗末ではないか。虚偽を根拠に他国の人種差別をあげつらうのは常軌を逸している。支えるスタッフが十分なチェック機能を果たしているとは思えない。
かねてトランプ氏の発言は、誇張やこじつけが目につく。誤りを認めないのも不適切だ。都合の悪い話をフェイクニュースとして退けながら、自らは根拠が怪しい発信を重ねるのは問題がある。
これは米国への信頼を傷つけるだけでない。同氏の習性だとして慣らされてしまうのを国際社会は恐れるべきだろう。根拠なき主張がまかり通れば、現状認識をゆがめる。事実に基づく議論や意思決定の原則をむしばみかねない。
トランプ政権は黒人主導の南ア政府が少数派の白人の土地を不当に収用し、白人迫害を黙認していると主張する。白人を難民として受け入れ始めた。今年南アが議長国の20カ国・地域(G20)会合をボイコットする構えもみせる。
ラマポーザ氏は首脳会談で、トランプ氏の主張に当初困惑した表情を見せたが、冷静に反論した。2月にウクライナのゼレンスキー大統領がトランプ氏と激しい口論になったのと対照的だ。
大多数の国にとって、トランプ氏との衝突を避ける意味は大きい。しかし不確かな情報に基づく非難や威圧を甘んじて受ける道理はない。誤りがあれば正し、間違いのない情報を粘り強く伝える努力が大切だ。