[社説]セブンは企業価値の向上急げ
#社説 #オピニオン #セブン&アイ買収提案
2025/5/30 19:00
株主総会で新経営陣が承認されたが業績回復が急務だ(27日午前、東京都千代田区)
セブン&アイ・ホールディングスの定時株主総会で、スティーブン・ヘイズ・デイカス新社長ら新たな経営体制が承認された。
株主の賛成率はデイカス氏が94%、創業家から会長に就く伊藤順朗氏は89%だった。カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収を提案されているセブン&アイにとって、単独経営が一定の支持を得たと言えるが、企業価値の向上は待ったなしだ。経営改革へ強いリーダーシップを発揮しなければならない。
株価は昨秋にACTが提示したとされる買収価格より2割低い。今夏にも中期経営計画を公表する方針だが、株主や取引先、消費者の信頼回復につなげねばなるまい。停滞する日米コンビニエンスストア事業の立て直しを急ぎ、業績改善を早く示す必要がある。
米国事業はM&A(合併・買収)で拡大したものの、工場など供給網の整備が追いついていない。食品の競争力向上や事業運営コストの低減が急務だ。今後トランプ米大統領の関税政策が個人消費を冷やす懸念もある。初の米国人社長であるデイカス氏は、これまでの現地子会社任せの姿勢を見直し、迅速な問題解決に導けるか、実行力が試される。
国内では競合相手に追い上げられており、コンビニの生命線といえるフランチャイズチェーンの加盟店オーナーにも業績低迷に対する不満がくすぶる。衰えが指摘される商品開発のてこ入れや宅配ビジネスの強化によって、店舗ごとの収益を伸ばすことが重要だ。
結果が出なければ、単独路線は説得力を持ち得ない。一方で、ACTは秘密保持契約を結んで買収に向けた資産査定を進めている。どちらが株主をはじめステークホルダーの利益になるか、取締役会には公正な判断を求めたい。
7兆円規模とみられる買収提案は日本の経営者に警鐘を鳴らす。業界トップの大企業でさえ買収対象になる時代である。企業価値を持続的に高める経営をスピード感をもって実現すべきだ。