バンブーズブログ

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[社説]マイナ保険証もっと便利に


社説
2023年12月15日 19:00
 
 

マイナンバー情報総点検本部の会合で発言する岸田首相(12日、首相官邸

岸田文雄首相が現行の健康保険証の発行を2024年秋に終了すると表明した。マイナンバーへの各種情報のひも付けミスに関する総点検の結果を踏まえ、マイナ保険証への移行を進めても問題ないと判断したものだ。

医療の質を高めながら重複診療などのムダを排除するデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上で、マイナ保険証の浸透は最も重要な基盤となる。現行の保険証からの移行を着実に進める首相の判断を支持したい。

政府は総点検本部を6月に設置し、ひも付けミスの可能性が高い332自治体などで個別データ8208万件を点検した。障害者手帳や健康保険証、公金受取口座などのデータで計8351件のミスが確認され、点検対象に占める割合は0.01%だった。

健康保険証など先行して点検した分も含めると1万5907件のミスがあったことになる。

政府は再発防止に向けた指針を策定した。自治体などが住民基本台帳ネットワークに照会する際に氏名、生年月日、性別、住所の4情報を使うよう定めた。各種制度の申請・更新時に住民にマイナンバーの提出を求め、通常業務の中でも定期的に確認するという。

現行の保険証は24年秋に発行を終了し、1年後の25年秋に利用できなくする。マイナ保険証を取得していない人には、医療機関で提示すれば保険診療を受けられる資格確認書を発行する。

今後は安心かつ便利に利用できる仕組みづくりを強化すべきだ。マイナ保険証の利用率は足元で5%を割る。スマートフォンに同保険証の機能を搭載したり、認知症の高齢者らに暗証番号が不要なマイナカードを交付したりする取り組みを着実に進めてほしい。

子どもの医療費負担を軽減する世帯に発行される医療証や、市町村が実施する検診結果など、マイナ保険証と連携するデータの範囲も早急に広げるべきだ。国民がメリットを実感できるマイナ保険証にする改革を急いでほしい。