これと対照的なのがアメリカで、2000年に38.2%だった大腸がん検診の受診率が2018年には66.8%に上昇しています。その結果、大腸がん患者の死亡率も低下しています。
2020年のアメリカ対がん協会の推計データによると、大腸がんによる死亡者は5万3200人。日本とほぼ同じ数字ですが、人口比は約2.6倍なので、日本の方が大腸がんの死亡率が2倍以上高いということになります。
アメリカでは大腸がんの死亡率は低下傾向にあり、日本では逆にこの20年で1.5倍に増えている。このことからも大腸がん検診による早期発見が、死亡リスクを下げる大きな要因であることがわかります。
「大腸がんが増えているのは食の欧米化や、マクドナルドが原因ではないか?」と犯人探しをする患者さんに出会うことがありますが、アメリカでの死亡率が下がってきていることなどから、どうもそれだけが原因ではなさそうですね。
日本でも、厚労省ががん検診受診率50%達成に向けたキャンペーンなどを行っていますが、思ったようには増加していないのが現実です。
大腸がん検診に限らず、がん検診全体を見ても海外と比べて日本の受診率は低くなっています。その理由のひとつは、医療へのアクセスしやすさの差だと思われます。
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日本は国民皆保険制度があり、病院もきちんと整備されているので、ちょっとお腹が痛い程度でも病院へ行けばすぐに診てもらえます。
それに比べると海外は時間的にも金銭的にも受診のハードルが高いため、なるべく「病院にかかる」状況に至らないようにする意識が強いのです。
日本は医療へのアクセスがよいからこそ、本格的に具合が悪くなるまで病院に行かず、健康な人も予防にあまり興味が持てないという皮肉な状況にあるわけです。