NYダウ続伸、440ドル高で高値更新 財務長官人事を好感
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2024/11/26 5:29(2024/11/26 7:29 更新)
【ニューヨーク=佐藤璃子】25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前週末比440ドル06セント(1%)高の4万4736ドル57セントで終えた。22日に付けた最高値を更新した。トランプ前大統領が次期財務長官にスコット・ベッセント氏を指名したことで、米政府債務が過度に膨張することへの懸念が和らいだ。
多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は6日続伸し、節目の6000台を回復する場面もあった。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も3日続伸して終えた。
トランプ氏は22日、経済政策を主導する財務長官に投資ファンド経営者のスコット・ベッセント氏を指名した。トランプ氏が公約で掲げた所得減税の延長などの推進役を担う。
減税や規制緩和が米国の製造業にプラスになるとの見方から、S&P500種業種別で製造業などの資本財は0.7%上昇した。中小型株で構成するラッセル2000株価指数も1.5%上昇し、3年ぶりの最高値に迫った。ヘッジファンドの創業者でもあるベッセント氏は「イングランド銀行を打ち負かした男」とも称されるジョージ・ソロス氏の右腕としても知られる。株式市場に配慮した政策運営を進めるとの期待も投資家の安心感を誘った。
ベッセント氏は減税や規制緩和といった経済成長を重視する姿勢を示す。一方、英フィナンシャル・タイムズの取材に関税引き上げ政策は貿易相手国との交渉次第で緩められるとの見方を示した。バランス感覚を重視した発言でも知られる。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントは「市場はベッセント氏の存在をトランプ次期政権における安定と責任の象徴として受け止めた」との見解を示す。経済のソフトランディング(軟着陸)期待から同日の米株相場ではボーイングが3%高、ナイキやホーム・デポが2%高となるなど景気敏感株や消費関連株に買いが集まった。
トランプ氏が主張してきた減税政策が政府債務の拡大につながるとの懸念があった。ベッセント氏の起用で財政規律の過度な悪化は避けられるとの見方から、25日の米債券市場では長期金利が前週末比0.15%低い(債券価格は高い)4.26%台を付ける場面があった。
半面、複数の米メディアが25日、イスラエルとイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラが停戦間近だと伝えたことを受けてエネルギー株は下落した。石油大手のシェブロンは1%安で引けた。
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