バンブーズブログ

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2050年にはインドと中国に次ぐ世界第3位に?人口増加率の高い国とは


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3/30(木) 9:00配信



ナイジェリア中北部にあるナサラワ州のケフィ家畜市場。人口が増え、食料自給率が低下しているナイジェリアは、小麦と魚を中心に、年間3兆円近い食料を輸入している。(PHOTOGRAPH BY YAGAZIE EMEZI)
 2022年秋のある日、地球は80億人の人間が生きる惑星になった。  人類の歴史のなかでこれほど多くがともに存在したことはない。きっかり80億人目の赤ちゃんは、その年の11月に世界で生まれた約1200万人の誰だったかはわからない。東京の病院か米国ワイオミング州の農場、ウクライナのキーウの防空壕で生まれた女の子だったかもしれない。あるいは、2022年11月12日にナイジェリアの首都アブジャで、ケネスとアマラ・オコンクウォ夫妻の第2子として、体重2750グラムで誕生した女児、エジアク・ケンドラ・オコンクウォだったかもしれない。 ギャラリー:「増えるナイジェリア」80億人の地球 写真と図解10点  80億人目の赤ちゃんがナイジェリア生まれかもしれないというのは、理にかなった推測だ。同国の人口は現在およそ2億2400万人で、アフリカで最も人口の多い国だからだ。医療も徐々に進歩して、乳幼児の死亡率は1000人当たり72人にまで減少し、平均寿命も53歳まで延びた(ただし、いずれもまだ国連の目標を大きく下回っている)。こうした要素が、大家族を好む伝統と相まって、ナイジェリアを世界有数の人口増加率の高い国にしている。  ナイジェリアの国土面積は米国の10分の1足らずだが、エジアクが28歳になる2050年までに、人口は3億7700万人に達し、インドと中国に次ぐ世界第3位になると予測されている。たとえるならば、米国民とカナダ国民の全員を、米国のテキサス州オクラホマ州、それにルイジアナ州の西半分に詰め込んだような状態だ。  ケネスが生まれた1983年当時、ナイジェリアの出生率は7を超えていた。つまり、1人の女性が生涯に平均して7人以上の子どもを産んでいたということだ。政府は2004年、出生率を4ほどに抑え、性的に活発な国民の3割に避妊法を使用させることを目標とする10年計画を始めた。その後10年間で出生率は下がったものの、結局は5.5にとどまり、避妊法を使用したカップルも1割に満たなかった。  政策の失敗は驚くに当たらなかった。政府が推奨した4人という数は、4回目の妊娠の後に母親の健康が衰え始めるとする研究結果に基づいていたのだが、多くの国民は当初から、この数字に納得していなかったのだ。「皆、誤解しているのです」と話すのは、ナイジェリア南西部イフェにあるオバフェミ・アウォロウォ大学で人口統計学を研究するアカンニ・アキニエミ教授だ。「この政策を、あたかも4人以上の子をもつことを禁じる法律のように言う人がいますが、そういうことではありません。十分な知識を得たうえで家族計画について理性的な判断をしましょうということなのです」  ナイジェリアでは大半の民族が男子に高い価値を置く。「男の子を産めなければ、その女性が問題を抱えてしまうこともあります」と話すのは、ナイジェリアの非営利団体で働くチデラ・ブノワだ。この団体は、人口爆発に対する意識を高めて、たくさんの子どもを産むことにつながる伝統的な考え方を変えようとしている。  国連によれば、若い女性に避妊が身近なものとなり、教育が普及すると、出生率は大きく下がるという。2030年までに、ナイジェリアでその両方が当たり前のことになれば、人口増加は半分に抑えられるかもしれない。つまり、エジアクが78歳の誕生日を迎える2100年の人口は、ある予測が示している8億人近くではなく、4億人になるということだ。 ※ナショナル ジオグラフィック日本版4月号特集「80億人の地球 「増えるナイジェリア」より抜粋。