#北米 #自動車・機械
2023/4/18 5:34
新たに税優遇の対象になるEVはテスラ、GM、フォードの車に限られた
【ニューヨーク=堀田隆文】米政府は17日、消費者が電気自動車(EV)を購入する際に、税優遇の対象となる車種の新たなリストを明らかにした。対象はテスラなど米国メーカーの11車種に限られ、日欧韓メーカーの車はすべて外れた。米政府はEVを巡って北米での生産・調達を最優先としており、対応が遅れる米国外メーカーは厳しい競争環境に置かれている。
米政府は自国市場のEVについて、消費者が最大7500ドル(約100万円)の税額控除を得られる販売支援策を採っている。2022年8月成立の歳出・歳入法で支援対象を北米生産車に限るなど新たな要件を定め、段階的に適用してきた。4月18日から新たな要件を適用するのにあわせ、対象車種も更新した。
18日から新たに①車載電池の部品の一定割合を北米でつくる②電池に使う希少金属など重要鉱物の一定割合を米国や米国が自由貿易協定(FTA)を結ぶ国などから調達する、という二つの条件を適用する。新たな要件が加わるため、販売支援のハードルは高くなり、対象車種数もこれまでの14車種から11車種に減った。
メーカー別では、最大手テスラの主力車種「モデルY」「モデル3」に加え、米ゼネラル・モーターズが6車種、同フォード・モーターが3車種という内容になった。対象車種すべてを米国メーカーが占めた。
一方、歳出・歳入法の要件のもとでも、これまでは税優遇の対象になっていた日欧韓のEVはすべて対象から外れた。日産自動車のEV「リーフ」が外れたほか、韓国・現代自動車と独フォルクスワーゲン(VW)のEVも税優遇を受けられなくなった。いずれも、車載電池に関する条件をクリアできなかったためとみられる。
米国では4万〜5万ドルがEVの売れ筋になっている。最大7500ドルの税控除は価格競争力を維持するうえで無視できない。米国外のメーカーは今後、税優遇を受けるために北米生産を加速したり、調達網を見直したり体制整備を急ぐことになりそうだ。
電池を巡る要件の追加は、米国勢にとっても厳しいものになっている。新興企業リヴィアン・オートモーティブのEVは対象外となった。テスラについても、モデル3の一部グレードは支援額が7500ドルから半分の3750ドルに減額となった。
それでも、リストはすでに北米に生産・調達基盤を持つ米国メーカーが優位な結果になっている。歳出・歳入法のもとでの米政府のEV販売支援策を「米メーカーへの過度な優遇措置」と批判してきた日欧韓の政府の反発が強まる可能性がある。
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