バンブーズブログ

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[社説]要衝のバングラデシュ支援は重要だ


 
 
#社説
2023/5/2 2:00
日本とバングラデシュの首脳会談では安保・経済の両面で関係強化に合意した(4月26日、ハシナ首相㊧と岸田首相)
岸田文雄首相が来日したバングラデシュのハシナ首相と会談し、安全保障と経済の両面で関係を深めることを確認した。日本が今年度から新設した防衛装備品の無償提供制度を活用するほか、経済連携協定EPA)の締結に向けた準備の加速でも一致した。

バングラは東南アジアと南アジアの結節点にある地政学上の要衝だ。岸田氏が3月に表明した「自由で開かれたインド太平洋」の新たな推進計画でも重要度は高く、一段の関係強化を歓迎したい。

安保協力は「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の適用を想定する。既存の途上国向けの政府開発援助(ODA)は非軍事分野に限定される。OSAは友好国の軍に資機材を供与する枠組みで、初年度の候補先4カ国のひとつにバングラを見込んでいる。

首脳会談では、その前提となる防衛装備品・技術移転協定の締結に向けた交渉開始に合意した。

経済発展が著しいバングラは2026年に、先進国への輸出品の関税が免除される「後発開発途上国」を卒業する予定だ。主力の衣料品などでこれに代わる輸出促進策が急務で、日本と昨年末からEPAの共同研究を始めた。

バングラは伝統的な親日国で、14年に当時の安倍晋三首相が訪れてインフラ支援を約束して以降、援助額が急増した。

成果は具体化している。昨年末に同国初の都市鉄道が開業し、南部では日本主導で大型港湾の開発が進む。中国の覇権主義的な動きを抑止するうえでも、インフラ整備での連携は意義が大きい。

人口1億7千万人を抱える有望市場としても期待が高い。バングラに進出した日本企業は約340社と最近10年で3倍に増えた。

ただ与党・アワミ連盟の事実上の一党支配下で、野党やメディアを抑圧するハシナ政権の強権統治に国内外から批判が出ている。

外交関係を強化する一方で、民主主義や人権を尊重するよう釘を刺すことは、最大の援助国である日本の責務であろう。