バンブーズブログ

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[社説]日本とベトナムの連携を安保強化に生かせ


 
 
# ASEAN #東南アジア #社説
2023/11/28 19:00
 
岸田首相㊨とベトナムのトゥオン国家主席はOSAの協議開始に合意した(27日、首相官邸)=共同
岸田文雄首相が来日したベトナムのトゥオン国家主席と会談した。両国の外交関係を格上げし、より広範な課題で協力を深めていくことに合意した。

ベトナムは中国の強引な海洋進出に直面し、米中対立や新型コロナウイルス禍で浮上したサプライチェーン(供給網)の対中依存の見直しでも有力な受け皿となる。日越の連携を防衛・経済両面の安全保障強化へつなげたい。

日越は外交関係樹立から50周年を迎え、9月に秋篠宮ご夫妻が親善訪問されるなど要人の往来も活発だ。両国はパートナーシップを従来の「広範な戦略的」から「包括的戦略的」へと引き上げることで一致した。ベトナムにとっては最上位で、歴史的に関係が深い中国やロシアと同格になる。

連携強化の柱となる防衛分野では、日本が友好国に防衛装備品を供与するため創設した「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の適用に向けて協議を始める。

世界の貨物の3分の1が行き交う南シナ海で、中国は全域が自国の主権下にあると主張し、軍事施設の建設や危険な挑発行動を繰り返す。日本はOSAの初事例としてフィリピンに沿岸監視レーダーの無償供与を決め、マレーシアにも資機材供与を急ぐなど、東南アジアへの支援を強化している。

ベトナムに対しても、2年前に締結した防衛装備品・技術移転協定に基づき、OSAを使った資機材供与や共同訓練の拡大、海上保安当局間の情報共有を進める。

ベトナムには製造業を中心に2千社を超す日本企業が進出しており、安定した生産活動へ供給網の強さを高める方針も確認した。

ベトナムは9月に米国との外交関係も一気に2段階引き上げ、中ロと並ぶ最上位に位置づけた。複雑な地政学を踏まえ、大国間でバランスをとろうとする動きだ。

日本も沖縄県尖閣諸島周辺で中国の挑発にさらされる。覇権主義的な脅威に対抗するため、米国とも歩調を合わせつつ、東南アジアとの協力を深めていくべきだ。