バンブーズブログ

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[社説]岸田文雄首相は裏金の解明と是正に全力を尽くせ


 
 
#社説 #オピニオン #自民政治資金問題
2023/12/12 2:00
 
自民党安倍派の資金還流問題が岸田首相の政権基盤を揺さぶっている(11日、参院本会議。写真㊧は松野官房長官
自民党派閥の政治資金パーティー収入をめぐる問題が閣僚や党幹部の進退に波及し、政権基盤を揺るがしている。組織的な裏金づくりといえる疑惑の広がりは極めて深刻だ。岸田文雄首相は事実の解明と是正に指導力を発揮し、体制を早期に立て直してもらいたい。

首相は11日、自民党安倍派(清和政策研究会)の資金問題を受けた人事の実施について問われ「適切なタイミングで適切に対応を考えていきたい。国民に疑念が広がっていることを深刻に受け止め危機感を持っている」と語った。

最大派閥の安倍派はパーティー収入の一部を所属議員に広く還流し、これらの資金が政治資金収支報告書に記載されない裏金となった疑いがもたれている。

松野博一官房長官は2019年9月〜21年10月に同派事務総長を務め、1000万円を超す還流分を報告書に記載しなかったのではないかと指摘されている。

閣僚は西村康稔経済産業相、党幹部は萩生田光一政調会長や高木毅国会対策委員長世耕弘成参院幹事長の疑惑も表面化した。塩谷立座長をはじめ他の所属議員も追及を受け、直近5年間で各議員が報告書の記載を怠った金額は数十万〜数千万円とみられている。

松野氏らは一連の疑惑について国会審議や記者会見で「精査して適切に対応したい」と繰り返すだけで明確な説明を拒んでいる。政治家は疑惑の目を向けられた場合、自ら率先して身の潔白を証明する責務がある。事実を調べてきちんと有権者に説明できないのであれば職にとどまる資格はない。

首相は各派のパーティー収入の不記載や資金還流の疑惑が浮上しても及び腰の姿勢が目立ち、事実確認などの対応は後手に回った。課題が山積するなか国政の停滞は一刻も許されない。大規模な人事の断行を含めて、信頼回復へ全力で陣頭指揮にあたるべき局面に追い込まれている。

東京地検特捜部は一連の資金の流れが政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の可能性があるとみて関係者に事情を聞いている。今国会が13日に閉会すれば、捜査は本格化する見通しだ。

自民党は1980年代以降に政治資金を巡る不祥事が続出し、その反省に立って現行の収支報告制度ができた。ルール違反が横行していたとすれば信頼を裏切る行為である。抜け道を防ぐための法改正を急ぐ必要がある。