バンブーズブログ

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[社説]異常気象に耐えるコメ作りを


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/12 2:00
 
コメの生産で異常気象への対策が急務になっている
夏の猛暑が響き、コメの品質が大きく低下している。農家の収入が減るのと米価が上がることの双方を防ぐため、生産者と自治体が連携して異常気象への対策を強化することが急務になっている。

コメは色や形などを検査機関がサンプル調査して、「1等」「2等」「3等」などに区分する。1等米はスーパーの店頭などに並ぶ一般的なコメで、例年なら全体の8割程度を占める。

2023年産はこれが大きく変調した。高温や渇水の影響により10月末で61.3%と現行の検査制度で過去最低の水準に落ち込んだ。とくに深刻なのがコメどころの新潟県で、15.7%だった。

コメの取引価格は等級が下がるほど安くなる。白濁していたり、虫の被害があったりして取り除く量が1等米と比べて多いからだ。1等米の減少は農家の収入減につながる恐れがある。

影響は消費者にもおよぶ可能性がある。通常の流通量が減ることで、需給が引き締まって価格が上がりかねないからだ。米価の上昇はさらなる消費の減少を招き、生産現場の経営を圧迫する。

多少の変色なら味は変わらない。卸会社が除外するコメを減らしてなるべく米価が上がらないようにする手はある。当面の混乱を防ぐのに必要な措置といえる。

だが、重要なのは今後の対策である。検討すべきなのは、栽培方法の見直しだ。例えば田植えを短期間に集中させず、天候不順のリスクを分散するよう自治体などが生産者に指導する。これにより被害を減らせる可能性がある。

より有効なのは研究機関が高温に耐える品種を開発し、産地が導入することだ。今年も1等米比率を保てた品種が一部にあった。品種の変更はブランド戦略として難しい面もあるが、選択肢として視野に入れるべきだろう。

消費が減っているとはいえ、コメの生産の安定は食料安全保障を左右する重大なテーマだ。頻発する異常気象に備えるため、大胆な見直しに挑んでほしい。