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楽天株が上昇した理由

楽天G、社債借り換え1500億円 償還計画を実質先送り
 
 
#ネット・IT #ビジネス
2024/1/26 10:50 (2024/1/26 20:15 更新)
 
公開買い付けの実施で償還額の「山」を平準化していく狙いがある
楽天グループは25日、新たな資金調達策を発表した。11月に満期を迎える社債を対象に上限10億ドル(約1470億円)の公開買い付けを2月にかけて実施し、満期が3年の社債を別途発行する。新規発行額は同規模とみられ、償還を実質先送りする。2024〜25年に控える約8000億円の社債の償還対策が本格化してきた。

早期買い入れの対象は22年11月と23年1月に発行した計9億5千万ドルの米ドル建て社債(表面利率10.25%)と、19年11月に8億ドル発行した米ドル建て社債(同3.546%)だ。いずれも24年11月に満期を迎える。2月23日まで投資家の売却を募り、同月28日に買い取る。

公開買い付けの原資として新たなドル建て債の発行計画も併せて公表した。期間が3年の無担保優先債で米ゴールドマン・サックスなどが主幹事を務める。米格付け大手のS&Pグローバルは1月26日、同社債について投機的水準とされる「ダブルB」の格付けとした。

 
楽天Gは発行条件などは決定後に発表するとしているが、関係者によると発行規模は10億ドル程度で、市場では利回りは10〜13%になるとの見方もある。楽天Gは公開買い付けで早期に買い取る際には3%分のプレミアムを支払う。今回のスキームは社債償還を実質先送りする効果がある。

米国では利下げ期待への高まりを背景に価格上昇を見込みやすい低格付け債の人気が高まっており、楽天Gの社債も買われている。11月の米大統領選の結果次第では市場が混乱する可能性もある。楽天Gは借り換えを急ぐことで発行条件が悪化することを避ける狙いもありそうだ。

同社は今回の借り換えについて「有利子負債残高の削減と能動的な社債償還スケジュールのコントロールによるバランスシートマネジメントに注力している」と説明している。

楽天Gはこれまで携帯事業への参入に伴い膨らんだ有利子負債の返済が課題となっている。携帯基地局への投資資金は主に社債でまかなっており、24年に約3200億円、25年には約4700億円の償還が迫っている。

携帯事業の黒字化が想定より遅れており、22年11月以降に公募増資や傘下の金融子会社の株式の一部売却などで償還資金の確保を急いでいた。

課題だった資金繰りが前進したことで、東京株式市場で楽天G株は一時691円40銭と前日比5%上昇し、増資発表前の23年5月以来の高水準をつけた。

株価上昇の背景には携帯事業の進捗もあるとみられる。

楽天Gの三木谷浩史会長兼社長は25日に都内で開いたイベントで、つながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の利用を今年5月にも始めると表明した。法人営業を強化するほか、ファミリープランといった新サービスを検討するなど顧客獲得に向け「ギアを上げる」(三木谷氏)とした。

自社回線の契約数は法人回線も含め23年12月時点で約600万件となった。三木谷氏は24年には黒字化の目安としている800万件を「軽く上回らなくてはいけない」と強調し、足元の新規獲得も「順調だ」と説明した。