［社説］LINEは社会基盤の自覚を
#社説 #オピニオン
2024/3/6 2:00
LINEヤフーには猛省が求められる
情報漏洩を繰り返すLINEヤフーに対して、総務省が異例とも言える要請に踏み込んだ。LINEを生み出した韓国ネイバーとの関係見直しを求めた。今やLINEは日本の情報通信インフラの一端を担うサービスだけに、責任ある対応を求めたい。
総務省は2023年11月に発覚したLINEからの情報流出が、電気通信事業法が定める「通信の秘密の漏洩」にあたると断定した。事態を重く見た総務省は5日、運営会社であるLINEヤフーを行政指導した。
LINEの情報管理体制については、以前から問題視されていた。21年には中国の委託先企業が情報を閲覧できる状態を放置したり、ユーザーへの周知が徹底されないまま韓国で画像データを保管したりしてきた事実が発覚した。
国境をまたぐデータ管理に慎重を要することは言うまでもない。LINEは問題発覚のたびに是正を求められてきた。今回も大株主でもあるネイバーに管理の一部を委託していたことが発端だ。LINEの情報にアクセスできるサーバーが攻撃された。
総務省はそもそも情報管理をネイバーに強く依存する体制に問題があり、再発の恐れがあると指摘している。問題の根を絶つため、「資本的な支配を相当程度受ける関係の見直し」を要請した。
LINEはネイバーの日本法人が11年に開発したサービスだ。今では日本で1億人近いユーザーを抱える国民的な通信インフラと言える存在となっている。
ヤフーとの合併を機にソフトバンクが親会社となったがネイバーの影響力も強く残る。上場企業であり資本構成の見直しには少数株主の理解も必要となる。関係の見直しがどんな形で進むかは現時点では不透明だろうが、少なくともシステム上の分離は不可欠だ。
誰もが不安なく利用できるサービスを目指すならデータ管理問題に終止符を打つ必要がある。LINEヤフーにはこの国の社会基盤を支える自覚を持ってほしい。
