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2024/3/21 5:13 (2024/3/21 7:07 更新)
【ニューヨーク=斉藤雄太】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、終値は前日比401ドル(1%)高の3万9512ドルと約1カ月ぶりに最高値を更新した。同日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)が2024年中に3回としていた利下げ予測を維持し、金融引き締めが長期化することへの警戒感が和らいだ。
S&P500種株価指数は0.9%高の5224.62、ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は1.3%高の1万6369.41で終え、いずれも最高値を更新した。
ダウ平均採用銘柄では、航空機製造のボーイングや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)の上昇が目立った。景気動向に敏感なクレジットカード大手のアメリカン・エキスプレスや金融大手ゴールドマン・サックスの株価も堅調だった。
米債券市場では政策金利の動きに敏感な2年物国債利回りが一時4.60%台と、FOMCの結果公表前から0.07%程度低下(価格は上昇)した。米金利低下で外国為替市場ではドルが売られた。対ドルの円相場は1ドル=150円80銭程度と、151円50銭台で推移していたFOMCの結果公表前から円高・ドル安方向に振れる場面があった。
米連邦準備理事会(FRB)が20日開いたFOMCでは、政策金利を事前の予想通り据え置いた。四半期に一度示すFOMC参加者の経済見通しは、24年末の政策金利の予測(中央値)が4.6%と昨年12月の前回予測から変わらなかった。年内に3回利下げするシナリオを維持した。
足元のインフレ指標の上振れを受け、年内の利下げ回数が減ることを警戒していた市場では安心感が広がった。金利先物市場の動きから政策金利の先行きを予想するフェドウオッチによると、FRBが次々回の6月会合までに利下げする確率は前日の60%未満から20日夕に75%程度に上がった。
20日のパウエル議長の記者会見では、利下げを始める前にインフレ鈍化のデータをさらに確認したいという姿勢を改めて示した。市場では「パウエル氏は6月に利下げをするという市場の予想を押し返さなかった」(米調査会社CFRAのサム・ストーバル氏)との受け止めが広がった。
FOMC参加者の経済見通しでは、24年10〜12月期の実質成長率の予測を2.1%と前回から0.7ポイント引き上げた。24年の失業率予測は4.0%と同0.1ポイント下げた。インフレは24年中に前回想定より高止まりするとみる一方、その後に目標の2%に向けて鈍化する見通しは堅持した。FRBが米経済の軟着陸に自信をのぞかせる見通しを示したことも、投資家のリスク選好を後押しした。
もっともFOMC全体では、利下げ実施により慎重になっている様子もうかがえる。参加者ごとの政策金利予測の分布をみると、24年中に4回以上の利下げを見込む人が前回は5人いたが、今回は1人になった。金融緩和に前向きなハト派がほぼ消え、金利の高止まりが続くリスクは残る。