[社説]立憲民主党新代表は野党結集へ政策の軸を示せ
党首選2024
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2024/9/23 19:05
立憲民主党の新代表に選出され、挨拶する野田佳彦氏(23日、東京都港区)
立憲民主党の新代表に野田佳彦元首相が就任した。政権奪還を掲げて代表選を勝ち抜いた以上は、有権者の期待に応える体制づくりが急務となる。立民が描く日本の将来像を明らかにし、野党勢力を結集する政策の軸を示して次期衆院選に臨んでもらいたい。
代表選は野田氏のほか、枝野幸男元代表、泉健太前代表、吉田晴美衆院議員の4候補で争われた。野田氏は上位2人による決選投票の末に枝野氏を破った。
野田新代表はあいさつで「本気で政権をとりにいく覚悟だ。戦いの準備を今日から始めたい」と述べた。首相経験者として外交や予算編成、危機管理の経験を生かすとの訴えが、所属議員らの幅広い支持につながったといえる。
代表選の論戦ではいくつか注目すべき変化があった。複数の立民幹部は「いまの野党が政権を担ったら日本の競争力や株価にマイナスだという空気を払拭したい」と語っていた。野田氏は「分厚い中間層の復活」を目標としており、実現への具体策が問われる。
エネルギー政策で野田、枝野、泉氏は原発に依存しない社会をめざしつつ、電力の安定供給に向けた当面の再稼働の必要性に理解を示した。今後の現実的な政策判断につながるなら歓迎したい。
立民は2015年成立の安全保障法制による集団的自衛権の行使容認を憲法違反とし、早期撤回を求めてきた。野田氏らは違憲との党方針を保持しつつ、歴代政権との政策の継続性や日米同盟の重要性に配慮する考えを示した。
政権の座をめざすからには、長期目標と日本が直面する諸課題への対応を整理し、考え方を有権者に説明する必要がある。
野党第1党に求めたいのは、社会保障制度改革での選択肢の提示だ。野田、枝野両氏は所得に応じて給付や控除を実施する「給付付き税額控除」の導入に積極姿勢を示した。一時的な減税や給付措置を競うのではなく、国民の将来不安の解消につながる改革を財源とセットで提案してほしい。
自民党総裁選が27日に終われば、新政権の下での早期の衆院解散が想定される。野党勢力が乱立したままでは選挙で不利になり、一方で政策の違いを度外視した共闘では再び失望を招きかねない。その狭き道を切り開く指導力が立民の新執行部には求められる