バンブーズブログ

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[社説]除名が問う議員と党の責任


 
 
#社説
2023/3/15 19:00
参院本会議でガーシー氏の除名処分が決まり、取り外される議席の氏名標(15日午前)
国会議員が72年ぶりに除名された。昨年7月の参院選での当選後に一度も登院せず、外国に滞在したまま再三の出席要請を無視し続けた結果だ。国会法が定めた「最低限の義務を果たしていない」との与野党の判断は正当であり、職場放棄への有効な是正策を講じなかった所属政党の責任も重い。

参院は15日の本会議で、政治家女子48党(旧NHK党)のガーシー氏に「除名」の懲罰を科す案を可決した。国会議員への懲罰は重い順に除名、登院停止、議場での陳謝、戒告の4種類がある。現行憲法下の除名は衆参両院で1950年と51年の2例のみ。国会欠席を理由とする除名は初めてだ。

ガーシー氏は昨年の参院選で旧NHK党から出馬し、比例代表で28万票余りを獲得し初当選した。帰国を拒んだ背景には、複数の著名人を中傷した名誉毀損などの疑いで警視庁の捜査を受けている事情があるとみられる。議員の責務よりも保身を優先するような身勝手な行動は認められない。

参院懲罰委員会はガーシー氏に出席や弁明の機会を与えようとし、慎重に審議を進めた。だが本人は参院が科した「議場での陳謝」の懲罰にも応じなかった。

ガーシー氏が獲得した票のなかには、既存政党や硬直的な国会運営への不満も含まれていたとみられる。それならば、まずは国会法などのルールを守り、リモート審議の活用といった改革案を議場で堂々と訴えるべきだった。

これまで議員の除名は、多数派が少数意見を排除するといった動きを避けるため極めて慎重に運用されてきた。この原則は今後も厳格に引き継いでいくべきだ。

ガーシー氏には初当選後、歳費や期末手当を含め1900万円ほどが支給された。立憲民主党日本維新の会は2日、正当な理由なく登院せず懲罰を受けた議員の歳費を4割削減する歳費法改正案を参院に共同提出した。

各党は議員が責務を果たさずに報酬を受け取るケースへの対処方法を検討する必要がある