バンブーズブログ

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1面振り返り3月14日袴田事件 再審認める

袴田事件の再審、なぜ今になって認められた?』
 
 
#朝刊1面を読もう #基礎から日経
2023/3/14 7:00
2023年3月14日の日本経済新聞朝刊1面に「袴田事件、再審認める」という記事がありました。1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんについて、東京高裁が裁判のやり直しを認める決定をしました。死刑確定から42年たった今になってようやく再審の道が開かれようとしているのはなぜでしょうか。

ここが気になる

裁判のやり直しを認める決定を受け、検察側が特別抗告すれば最高裁で審理が続き、見送れば静岡地裁で再審が始まります。再審の可否を巡る争点は犯行時に着ていたとされた衣類に付いた血痕の評価でした。衣類は事件発生から約1年2カ月後に工場のみそタンクから見つかったにもかかわらず、変色せずに血痕の「赤み」が残っていたとされていました。

今回の決定は、検察・弁護側双方が実施した実験に基づく鑑定を踏まえ、赤みが消えるとする方が「化学的メカニズムとして合理的」と認めました。衣類を犯行時の着衣とした確定判決に合理的な疑いが生じ「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」としました。そのうえで捜査機関が衣類をみそタンクに混入させた可能性にも言及しました。

事件発生から57年、今回の再審請求からは15年が経過しています。再審開始のハードルが高い理由は、再審について定めた刑事訴訟法の規定に、検察側が保有する証拠の開示手順などが明記されていないことにあります。裁判所の働きかけがないと検察側が証拠開示に応じないケースが目立ちます。ドイツや英国、台湾など海外でルール整備が進む中、日本の再審制度のあり方が問われています。