バンブーズブログ

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[社説]北朝鮮の暴走阻止へ国際連携と備えを強めよ


 
#社説
2023/4/14 2:00
北朝鮮問題で日本は重い役割を担う。記者団の質問に答える岸田首相(13日、首相官邸
北朝鮮が13日、日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。防衛省によると、大陸間弾道ミサイルICBM)級の可能性があり、発射直後の分析では日本に落下する恐れも否めなかった。北東アジアの緊張を高め、国民を大きな不安に陥れる許しがたい蛮行だ。

政府が当初、落下地点の見通しを「北海道周辺」としていたのはそのままの軌道なら、陸地に着弾する危険もあるとみたからだ。金正恩総書記はここにきて核兵器生産に拍車をかけるよう指示しており、日本の現実的な脅威になっていることを知らしめた。

北朝鮮のミサイル発射は日本と韓国で見る角度が異なり、これまでも両政府間で見解がたびたび食い違ってきた。米国を交えた14日の防衛当局間協議では、昨年11月の首脳会談で合意した北朝鮮のミサイル発射情報を即時に共有する仕組みを整えてほしい。

米欧をはじめ国際社会の大きな関心はロシアや中国への安全保障に向いている。政府はそれと連携しつつ北朝鮮への抑止力を高めなければならない。米韓とともに国際世論を喚起し、北朝鮮への圧力と対話の両面から取り組みを強める先頭に立つべきだ。

5月に広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)を主催する。岸田文雄首相と林芳正外相は今月末からの大型連休にそれぞれアフリカと中南米を訪れる予定で、国際協調の裾野を広げる好機になる。機能不全に陥った国連や中国への働きかけは欠かせない。

今回のミサイルへの対応は、国民保護の観点から課題が浮かびあがった。全国瞬時警報システム(Jアラート)で屋内への避難を呼びかけたが、レーダーで探知されたミサイルが直後に消失したため、日本の領域に落下する可能性がなくなったと訂正した。

Jアラートの発令は昨年11月3日以来だ。このときは発信が遅く、内容も正確さに欠けるとの批判が相次いだ。今回の発信は従来と比べて早くなったが、国民の安全にかかわる問題として、避難の時間を長く確保できるよう改修を重ねて精度も高める必要がある。

警報だけではもちろん不十分だ。南西諸島のように緊迫度が高まる地域には弾道ミサイルなどの攻撃から住民を守るシェルターの整備といった避難施設について政府内の検討も急ぐべきだ。国民一人ひとりが危機管理の意識をもつことが大事になってくる。