バンブーズブログ

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[社説]グローバルサウス連携深めよ


 
 

岸田首相は訪印時にモディ首相と会談し、「自由で開かれたインド太平洋」をテーマにした演説に臨んだ
岸田文雄首相が20日に訪れたインドで演説し、「自由で開かれたインド太平洋」の新たな推進計画を打ち出した。国際社会で存在感を高めるグローバルサウス(南半球を中心とした途上国)への関与強化が主眼で、インドはその代表的な国の一つである。

ロシアのウクライナ侵攻などで揺らぐ国際秩序の維持と発展にはグローバルサウスと連携を深める取り組みが不可欠だ。訪印を機にその流れを加速させたい。

ウクライナ戦争は米欧日の西側諸国と、ロシアと中国の対立を先鋭化させた。グローバルサウスに含まれる東南アジア諸国連合ASEAN)や中南米、アフリカ諸国の大半はいずれの陣営にもくみしない立場をとる。

首相は演説で主権や領土の一体性を尊重し、法の支配を重視する基本原則を示した。民主主義国家の形態を必ずしもとらないグローバルサウスの多様な国家も、賛同しやすい理念だ。分断と対立が目立つ国際社会が協調を取り戻す旗印になり得る。

これらの国々はエネルギー高騰や食料危機、気候変動といった問題に直面し、それぞれのニーズに沿った支援を求めている。

これに応えるため、推進計画ではインド太平洋地域のインフラ整備などに2030年までに官民で750億ドル以上を投じる方針を示した。その有力な手立てとなる政府開発援助(ODA)は改善の余地がある。民間資金を呼び込みやすい工夫などを近く改定する開発協力大綱でも示してほしい。

インドは125カ国が参加した「グローバルサウスの声サミット」を1月にオンラインで主催した。主要7カ国(G7)と20カ国・地域(G20)の議長国をそれぞれ務める日印の関係は、グローバルサウスとの協調の試金石となる。

林芳正外相は3月初めにインドで開かれたG20外相会合を国会審議を理由に欠席した。政府はインド軽視ととられかねないG20欠席を挽回するためにも、インドとの協力関係を着実に深めるべきだ。