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[社説]マイナンバーカードの信頼回復を急げ

[社説]マイナンバーカードの信頼回復を急げ
 
 
#マイナンバーカード #社説
2023/6/10 2:00
マイナンバーカードの登録トラブルが続いている
マイナンバーカードの手続きを巡るトラブルの発覚が続いている。こんな状態では制度への不信が国民に定着しかねない。デジタル庁を中心に政府が一丸となって信頼確保に全力をあげてほしい。

デジタル庁が登録済みの約5400万件を点検したところ、給付金などの受取口座として家族など本人以外の口座がひも付けられたケースが約13万件あり、別の人のマイナンバーに登録されたとみられるミスも748件あった。

これ以前にもマイナンバー健康保険証で別人の情報がひもづけられたケースなどが発覚している。大半の事案は人為的なミスによるものだ。誤登録をシステムが自動チェックする機能の強化や、人手を介さないシステムへの移行など再発防止策を急ぐべきだ。

マイナカードの活用はこれからが本番になる。健康保険証と一体化する改正法がこのほど成立し、2024年秋には従来の保険証が廃止される。行政デジタル化の試金石ともいえる保険証の移行を円滑に進めるためにも、制度の信頼確保が欠かせない。

保険証移行で求められるのは国民の目線にたった誘導策だ。カードを持たない理由を踏まえた、きめ細かい施策が必要だろう。

紛失を恐れる人に対しては、カードの機能をスマートフォンに搭載できるようにすることが一つの対策になりうる。すでにアンドロイド対応の端末で一部サービスの提供が始まったが、機種の拡大と保険証への対応を急いでほしい。

マイナ保険証を受け付ける病院や診療所の拡大にも力を入れるべきだ。利用できる場所が生活圏になければ、カードを持つ必要性を感じないのも当然だ。

マイナ保険証の利点は医療機関や薬局が患者の医療データを共有することで、薬の重複処方を防ぐなど、医療の質を高めつつ、医療費を適正化できることにある。

今は対象データが薬の処方情報や特定健診の結果に限られているが、24年度中には電子カルテの情報を共有できるシステムの運用が始まり、患者の同意を前提に、傷病名や検査値、アレルギー、感染症などの情報なども共有される。こうした計画を国民に丁寧に説明していくことも重要だろう。

政府は運転免許証の機能を持たせるなどマイナカードの活用を今後拡大させていく計画だ。これらを着実に進めるうえでも、信頼確保と利点の周知が欠かせない