バンブーズブログ

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[社説]ワグネルの反乱が迫るウクライナ撤退


 
 
#ウクライナ侵攻 #社説
2023/6/25 2:00
反乱はプーチン政権にとって大打撃だ(24日、ロシア南部の都市に展開するワグネルの戦闘員ら、タス=共同)
とうとう内部から反乱者が出た。もはや外国と戦争している場合ではないだろう。ロシアのプーチン大統領にはウクライナからの軍撤退を命じるしか道はない。

民間軍事会社「ワグネル」を率い、プーチン氏の盟友だったプリゴジン氏が反旗を翻し、南部の都市ロストフナドヌーの主要拠点を支配した。

ワグネルの戦闘車両が市の拠点を占拠し、軍とにらみ合う様子は異様だ。モスクワでも警戒態勢となった。今後流血を伴う大きな混乱にならないことを願う。

プーチン氏は急きょ国民向けにテレビ演説し「裏切りと反逆に直面している」と述べ、犯罪者を徹底的に処罰する意向を表明した。さらに「あらゆる脅威から祖国を守る」とも明言した。ならばウクライナで戦闘を続けるのではなく国内の秩序を取り戻すべきだ。

2000年以降、国のトップとして君臨し続け、独裁的な地位を固めた同氏にとって初めて直面するあからさまな反乱だ。

しかも武力を使って脅された形となり、「強い指導者」のイメージは崩れ始めた。国民から高い支持を得ていたのは曲がりなりにも安定を維持してきたからだ。

政権に大きな打撃となるのは間違いない。反乱の行方はもちろんだが、来年に大統領選を控えて一層の長期支配を目指すプーチン体制にどう影響を及ぼすのか注視する必要がある。

反乱の引き金となったのはウクライナ侵攻を巡るワグネルと軍との対立だ。ワグネルは独自に受刑者を兵隊として採用するなど、そもそも指揮命令系統が軍と別々だったのが問題だった。戦況が不利になるとお互いが責任を押しつけ合った。そのような態勢を認めたプーチン氏の誤算といえる。

侵攻には最初から無理があったのだ。現在は占領地でウクライナ軍の反転攻勢にさらされている。足元で政権を脅かす事態が起きたことで、侵攻が失敗だったといまこそ同氏は自覚すべきだ。

懸念はプーチン政権が混乱するなかで戦場で予期しない事態が起きることだ。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアが原子力発電所でテロを計画していると警告している。真相は不明とはいえ今月6日にはウクライナ南部のダムが決壊した。

さらなる戦争犯罪を起こさせないためにも、国際社会が監視を強めることが求められる