バンブーズブログ

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日航機墜落事故38年 空の安全守る、遺族ら決意新たに


 
#社会・調査
2023/8/12 15:04
 
犠牲者の冥福を祈り、「昇魂之碑」の前で手を合わせる人たち(12日午前、群馬県上野村
乗客乗員520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から12日で38年となり、遺族ら200人以上が現場となった「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)に慰霊登山し、空の安全を守る決意を新たにした。ふもとにある追悼施設「慰霊の園」では同日夕方に慰霊式が営まれ、墜落時刻の午後6時56分に黙とうがささげられる。

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澄んだ青空の下で、遺族らは朝から尾根周辺にある犠牲者の墓標を目指し登山道を進んだ。墓標前では花を供え、静かに手を合わせる姿が見られた。昇魂之碑では「安全の鐘」を鳴らし、黙とうをささげていた。広場では有志がオカリナを演奏し、子どもらがシャボン玉を飛ばした。

一番上の姉、静子さん(当時32)を亡くした宮坂幸子さん(65)=横浜市=は今年は登山を断念した姉の裕子さん(69)の分まで登った。「姉とは色々なことを一緒に乗り越えてきたから、今年も一緒に登りたかった」と無念さを語った。「『みんな元気だよ』と墓標に声をかけた。私たちを見守っていてほしい」。

今年は11〜13日に尾根で一部の携帯電話などが使えるよう通信環境も整備された。12日は、尾根からテレビ電話で「今年もみんなで来られたよ」と高齢の家族に話しかける人の姿もあった。

父の謙二さん(当時49)を亡くした山本昌由さん(43)=東京都=は大阪に住む母らにリモートで登山の状況を報告した。亡き父には子どもの成長や母らの現状を伝えた。「遠方の母にも登山の様子を伝えられて良かった。自分も父になり、可愛い子どもがいる中、突然亡くなった父の無念さを改めて感じる」と話した。「事故の悲惨さや安全の大切さを遺族から発信し、次の世代につなげていきたい」と誓った。

12日夕方にはふもとにある追悼施設「慰霊の園」では慰霊式が営まれ、墜落時刻の午後6時56分に黙とうがささげられる。新型コロナウイルス禍の影響で2022年まで3年連続で参加を一部関係者に制限していたが、今年は4年ぶりに遺族も参加できる。

新型コロナ禍前、慰霊登山する遺族は300人前後で推移していたが、22年は約150人まで減っていた。日本航空によると、今年は午後2時時点で265人が参加し、コロナ禍前の水準となっている。遺族の高齢化が進むなか、事故後に生まれた世代が登山を受け継いだケースも目立つという。