バンブーズブログ

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[社説]日本が探るAI戦略の活路


 
 
#社説 #オピニオン
2023/8/16 2:00
 
NECは企業向けに生成人工知能(AI)の新サービスの提供をはじめた
人工知能(AI)の活用が急速に広がるなか、政府が国産技術開発への支援を強めている。出遅れた日本は独自の戦略を探り、活路を見いだす必要がある。

経済産業省総務省文部科学省などが国内の研究開発力の強化を重点政策に掲げる。2024年度の関連予算は政府全体で2000億円規模と、前年度の2倍ほどに増やす意向だ。

高性能コンピューターの導入を進めるほか、高品質なデータの拡充も急ぐ。例えば、産業技術総合研究所は高性能スーパーコンピューターを構築し、AI開発企業にクラウドサービスで開放する。質の高いデータを使えば、効率よくAIが学習でき、性能が上がる。研究開発に欠かせないインフラの整備を進めるのは評価したい。

AIは社会や経済を大きく変える技術だ。その基盤を海外に握られることを危惧する声もある。資金力のなさや専門人材の不足を考えると、米オープンAIや米グーグル、中国の百度バイドゥ)など先行する米国や中国の企業に追いつくのは難しい。

日本は以前、国産検索エンジンの開発を官民で進めたが、失敗に終わった。海外勢とは別の土俵で勝負することも考えるべきだ。

例えば、医療や法律、金融など分野を絞って高品質のデータをそろえれば、高性能で軽量のAIを開発できる。需要もあるはずだ。

文章生成AIについては、NTTやNECなどが小型・軽量の日本語対応版を開発した。顧客企業ごとに最適化したサービスの提供を目指すという。ビジネス利用や社会課題の解決を重視し、関連産業の育成につなげていきたい。

デジタル化の遅れなど国内の利用企業の意識の低さも大きな問題だ。日本のAIスタートアップの調査では、経営幹部や技術者の導入意欲は米、韓、独、英など10カ国の中で最低だった。AIによる利用企業の業務変革を促す政策も考える必要がある。利活用する人材の教育にも力を入れなければ、現状は変えられない。