バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

[社説]巨大ITは社会に貢献する革新を起こせ


 
 
#ネット・IT #ビジネス #社説
2023/8/4 19:05
 
米巨大IT各社の4〜6月期決算は本業の伸び悩みが続いた
米巨大IT(情報技術)企業の2023年4〜6月期決算が出そろった。業績は回復基調にあるが、売上高の伸びにかつての勢いはない。新市場をひらくイノベーションの力が改めて試される。

グーグル親会社のアルファベット、メタ、アップルの純利益が前年同期比で増益に転じた。アマゾン・ドット・コムの最終損益は黒字に転換し、マイクロソフトは同2割の増益を確保した。だが、アルファベットとマイクロソフトの増収率は1ケタにとどまり、アップルは減収だった。

グーグルのネット検索広告やアップルのiPhoneなど、それぞれが築いてきた市場が頭打ちしていることが背景にある。

巨大IT企業であろうと、事業の組み替えを進めなければ停滞から抜け出せない。各社は人工知能(AI)などへの投資を増やしている。テクノロジー産業全体を活性化し、社会に広く貢献する革新を起こしてほしい。

マイクロソフトは精緻な文章などを作れる生成AIをオンライン業務アプリに組み込んだサービスを始めた。メールの返信や、スライドの作成などをAIが手助けしてくれるという。グーグルも同様のサービスで追い上げる。

メタは、サービス運営で混乱が続くX(旧ツイッター)に対抗する短文投稿サービスで利用者の獲得を進めている。アップルは来年、ゴーグル型の新端末を発売してスマートフォンに続く製品に育てる計画を表明している。

大手間の競争で新技術の普及が進めば、サービス・製品がより安くなり、質の向上も期待できる。

だが、いずれも次の時代のデジタル基盤になり得る重要な製品群だ。膨大な資金を持つ巨大IT企業がこうした市場の開拓を急ぐなか、新たな寡占が生まれないかに各国の競争当局や規制当局は細心の注意を払う必要がある。

特に生成AIを使うサービスでは、巨大データセンターを持つ企業が有利だ。この領域ではマイクロソフトやグーグル、アマゾンなどが主導権を争っている。データの集中がさらに進む懸念もある。

新たな領域で持続的な成長を続けるためにも、巨大IT企業はこれまで社会から受けた批判に謙虚に向き合う必要がある。自社の利益のみを追求するのではなく、協力先企業などと共存共栄の関係を築き、利用者にメリットが行き渡る事業を構築すべきだ。