バンブーズブログ

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[社説]中国は説明なき邦人拘束を直ちにやめよ‼️


 
 
#社説 #オピニオン
2023/10/15 2:00
 
アステラス製薬の日本人社員は3月に北京で拘束された=ロイター
残された時間は少ない。中国当局が拘束中の日本人男性を、近くスパイ容疑で正式に逮捕するとの見方が強まっている。

明確な説明がないまま、外国人を長期にわたって拘束する中国のやり方は断じて容認できない。日本政府は男性の解放に向け、あらゆる手を尽くすべきだ。

中国当局は今年3月、アステラス製薬の日本人社員を北京で拘束した。「確たる証拠を得ている」と主張するだけで、男性がどんなスパイ行為をしたのかはいっさい明らかにしていない。

9月中旬には中国側から日本政府に、男性を刑事拘留したとの通知があった。当局が正式な逮捕に踏み切れば、起訴や裁判を含めて拘束がさらに長期化するのは避けられない。

中国で暮らす外国人は大変な緊張を強いられている。いつ、どんな理由で中国当局に拘束されるかわからないからだ。

中国は7月に改正「反スパイ法」を施行した。「国家の安全と利益」にかかわる情報のやり取りをすべて「スパイ行為」として摘発できる内容だ。これでは当局の恣意的な判断で、だれもがスパイに仕立て上げられるおそれがあると言わざるを得ない。

9月には、野村ホールディングス(HD)の香港法人の幹部が中国本土から出国停止になったことが明らかになった。

詳細はわかっていないが、中国でビジネスをする外資系企業の職員に大きな衝撃を与えた。

外国人が安心して中国に行けない状況が続けば、外資対中投資にも影響が出るのは必至だ。それは低迷する中国経済をさらに下押しする。習近平政権は自らの首を絞める行為だと自覚すべきだ。

日本政府はアステラス社員が拘束されて以来、直ちに解放するようさまざまなレベルで中国側に働きかけてきた。しかし、目立った成果は上がっていない。

中国の場合、やはり事務レベルでの交渉には限界がある。2019年に北海道大の教授が拘束された際は当時の安倍晋三首相が直接、中国の王岐山国家副主席らにかけ合い、解放を実現した。

日中間には、ほかにもさまざまな懸案がある。中国は東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出に反発し、日本産の水産物の全面禁輸も続ける。岸田文雄首相はこうした理不尽な措置をやめさせるために、自ら動いてほしい。