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2023/10/26 2:00
ジャパンモビリティショーでコンセプトEVを発表する日産自動車の内田誠社長(25日午後、東京都江東区)
国内最大の自動車ショー「ジャパンモビリティショー」が25日、都内で始まった。会場では電気自動車(EV)をはじめソフトウエア関連の新しいテクノロジーも続々と公開されている。関連企業がこの分野で先行する米国や中国を追い上げるよう期待したい。
かつての「東京モーターショー」から名称を変え、実質的に4年ぶりの開催となる。開幕日は主要メーカーから、EVなど自動車にとどまらず空飛ぶクルマやロボットなど新しいモビリティーの形を示す技術が披露された。
トヨタ自動車の佐藤恒治社長は「世界に多様なモビリティーの選択肢を届け続ける」と述べた。日産自動車は人工知能(AI)による完全自動運転のコンセプト車などを公開し、内田誠社長が「日本の新しいおもてなしを提供する」と強調した。
ただし公開された車や技術の多くは、まだコンセプト段階にとどまる。各社はこれらの次世代技術を着実に実用化していかねばならない。日本はEVで出遅れているだけでなく、AIなどソフトウエアでも世界をリードしているとは言いがたい。挽回が必要だ。
例えばショーに先立ってホンダが発表した無人タクシーは、提携する米ゼネラル・モーターズ(GM)との協業で2026年から実用化するという。
一方、米国ではサンフランシスコ市内でGM系などがすでにサービスを拡大している。デトロイト市内でも現地のスタートアップが企業向けに自動運転の小型バスを走らせてきた実績がある。
これらの取り組みには事故の報告例もあるが、社会実装で先行すれば技術の蓄積や改善もおのずと進む。関連する企業には社会が納得する形で積極的に新技術の導入を進めてもらいたい。政府や自治体も規制の見直しなどで後押ししていく必要がある。
新しいモビリティー社会を実現させる主役が大手企業とは限らない。今回のショーにはソフトウエア関連や空飛ぶクルマなどのスタートアップも多く参加した。
岸田文雄首相は23日の所信表明演説で新しいフロンティアやイノベーションへの取り組み、スタートアップ支援に言及し、具体例として自動運転を挙げた。