西城秀樹さんマネジャーが明かす『ギャランドゥ』を生み出した夜
配信 2023年10月25日 12:58更新 2023年10月26日 19:28
NEWSポストセブン
もんたよしのりさんと西城秀樹さん、ちょっと異色の組み合わせにも思えるが、実はふたりはお互い「アニキ」と慕い合う仲だった。
10月18日、大動脈解離のため72歳で亡くなったもんたよしのりさん。『ダンシング・オールナイト』のほかにも、西城秀樹さんが歌い昭和の名曲となった『ギャランドゥ』(1983年)を作詞・作曲したことでも知られる。
5年前に亡くなった西城秀樹さんは、もんたさんより4歳年下だったが、1979年には『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』で一世風靡するなど歌謡曲界のトップスターだった。一方、もんたさんは「もんた&ブラザーズ」の『ダンシング・オールナイト』が1980年に大ヒットし、シンガーソングライターとして一躍、注目を浴びるようになっていた。
ふたりはともに広島県生まれということもあり、親近感をもちながらもお互い気になる存在だったようで、アーティストとしてリスペクトし合っていた、と西城さんのマネジャーであった片方秀幸さんは話す。
「ハスキーボイスでロッド・スチュワートのように渋い大人のロックを歌えるという共通点もふたりにはありました。食事やお酒を飲みに行くこともありましたが、飲み友達というより、音楽で繋がっている時が楽しそうでした」(以下カッコ内、片方さん)
西城さんの自宅には本格的な音楽スタジオが併設されていて、「遊びに来いよ」ともんたさんを誘っていたそう。当時、西城さんは事務所を独立したばかりで、アイドル時代からのトレードマークだった長髪をカットして、曲も心機一転、新しいものにチャレンジしたいと気合いが入っていた。そこで、もんたさんに曲を作ってほしい、と熱烈にオファーした。
ある日、西城さんのスタジオで、鼻歌のような“でたらめ英語”を歌いながらギターを弾いていたもんたさん。ノリで自然に出てきた言葉が「ギャランドゥ~、ギャランドゥ」だった。
コードとメロディーが固まってきたら、もんたさんの“でたらめ英語”を日本語に置き換えていく、というのが歌詞をつくる作業だったが、「ギャランドゥ」の部分だけは、どうしてもほかにしっくりくる言葉が見つからなかった。
「おまえに夢中、彼女~」とかいろいろ試してみたが、なんだか決まらない。そこで、もんたさんと西城さんの意見が一致し、「もうこのまま、“ギャランドゥ”でいこうぜ!」となったという。
そうやってこの名曲は一晩で誕生した。一度聴いたらずっと耳に残るパンチの効いた曲を、秀樹だったら歌いこなせる、秀樹らしい魅力溢れる歌になる、ともんたさんも確信していたのだろう。
その後、「ギャランドゥ」の意味は何なのか、という問い合わせがあまりにも多かったため事務所では、「gal and do」「gal undo」など、苦し紛れの後付けをすることになったそうだ。ちなみに、「おへそから下の毛」がなぜかギャランドゥと呼ばれるようになったのは、深夜ラジオで松任谷由実が発信したのがきっかけと言われている。
「もんたさんも西城も義理堅くあたたかい人情家だったので、90年代、チャリティーコンサートを行う時は、お互い出演し合っていました」
さらに、2003年に西城さんが脳梗塞を発症し復帰してからのコンサートでは、もんたさんが客席からステージを見守り、楽屋見舞いにも訪れていた。
「『秀樹、元気か? よかったよ!』と明るく声をかけてくれて、西城もとてもうれしそうでした」
テレビ局で一緒になった時も、西城さんの楽屋にわざわざ顔を出して声を掛けてくれたという。
同世代で実は共通点も多く繋がっていた、もんたさんと西城さん。空の上でまた一緒にセッションや音楽談義をしているかもしれない。
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