…WHO「大きな衝撃を受けた」
配信 2023年11月4日 10:25更新 2023年11月4日 19:44
読売新聞オンライン
【エルサレム=西田道成、カイロ=田尾茂樹】英BBCなどによると、イスラム主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザの最大規模の病院近くで3日、爆発があった。パレスチナ赤新月社は、イスラエル軍が病院入り口や救急車を空爆し、少なくとも15人が死亡、60人が負傷したと発表した。
現場は、ガザ北部の中心都市ガザ市のシファ病院周辺。赤新月社の声明によると、患者を乗せた同社の救急車1台が病院の前に戻ったところ、空爆を受けた。隊列を組んでいたガザ保健当局の救急車も移動中に攻撃されたと明らかにした。救急車は負傷者をエジプトとの境界にあるラファ検問所に搬送しようとしたが、がれきなどで通行できず引き返してきたという。
イスラエル軍は3日、ガザで救急車1台への空爆を行い、複数のハマス戦闘員を殺害したと発表した。「ハマスのテロリストが救急車を利用していることが確認された」と説明したが、今回の爆発との関連は不明だ。ガザ市を包囲した軍は、シファ病院の地下にハマスの拠点があり、救急車で戦闘員らを移送していると主張していた。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は「大きな衝撃を受けている。患者や医療従事者らは常に守られなければならない」とX(旧ツイッター)で即時停戦を求めた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は3日、イスラエルを訪れた米国のブリンケン国務長官と会談した。ブリンケン氏は人道状況を改善するため、戦闘の中断を要請した。しかし、ネタニヤフ氏は会談後のテレビ演説で「誘拐されたイスラエル人の解放を伴わない一時停戦を拒否する」と述べ、ハマスを排除し人質を奪還するまで戦闘を続ける姿勢を強調した。
フランスのマクロン大統領は3日、ガザへの人道支援強化に関する国際会議を9日にパリで開くと表明した。ロイター通信などによると、会議には主要20か国・地域(G20)やアラブ諸国、パレスチナ自治政府の代表者が出席する見通し。イスラエルやイランは招待されていない。
一方、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ指導者のハッサン・ナスララ師は3日の演説で「我々の前線にはあらゆる選択肢がある」と述べた。イスラエルや米国に対し、戦闘が広域に拡大する可能性があると警告した。戦闘以降、公の場で発言するのは初めて。ハマスの奇襲攻撃については「作戦は100%パレスチナ人が決めた」と述べ、ヒズボラが関与したとの見方を否定した。