バンブーズブログ

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[社説]ガザでの民間人犠牲の拡大を食い止めよ


 
 
#イスラエルハマス衝突 #社説
2023/10/31 2:00
 
イスラエル軍空爆が激しさを増している(ガザ市、29日)=ロイター
民間人の犠牲はこれ以上、容認できない。イスラエルパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとの衝突で、イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争は第2段階に入った」と語った。

イスラエル軍空爆は激しさを増している。戦車など地上部隊のガザ侵入も確認された。パレスチナ人の犠牲者は7000人を超え、毎日400人以上の子供が死傷しているとされる。逃げ場のないガザで地上戦が本格化すれば、犠牲者はさらに増えるだろう。

多数の市民を殺害し、人質を連れ去ったハマスの無差別テロは許されない。しかし、220万人が暮らすガザでは、水道や電力などの社会インフラがほぼ使えなくなっている。国連の支援物資が入るが、十分ではない。日増しに深刻化する人道危機を放置できない。即時停戦を探るべきだ。

衝突の長期化は、戦火を拡散する危険を高める。イスラエル北方では、イランの支援を受けるレバノンイスラムシーア派武装組織ヒズボラとの衝突が起きている。シリアやイラクに駐留する米軍への攻撃も増えている。

イスラエルや米国と対立するイランが本格介入すれば、原油供給を含め、甚大な影響を世界にもたらす。ガザ情勢に触発されたイスラム過激派のテロが世界に広がることへの警戒も必要だ。

こうした状況に国際社会は一致した対応を取ることができていない。国連安全保障理事会では、米国やロシアがイスラエル自衛権ハマスの責任への記述をめぐって対立し、拒否権を相互に発動し決議が採択できずにいる。

一方、国連総会では人道的休戦を求める決議が賛成多数で成立した。拘束力はないとはいえ、ガザの状況を憂える声が大きくなっていることを無視すべきでない。各地でのイスラエルパレスチナそれぞれの立場に立つ集会やデモは世界の分断を映す。

ハマスは様々な国籍の200人以上を人質として拘束している。ハマスに影響力を持つカタールで解放交渉が進められている。国際社会は交渉を後押しするとともに、人質解放をてこに戦闘の休止を急ぐことが重要だ。

上川陽子外相がイスラエルとヨルダンの訪問を検討している。日本は年末まで主要7カ国(G7)の議長国である。人道危機の回避へ、日本も積極的に役割を果たしていくべきだ。