2023/11/18 08:11
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イスラエル・ガザ情勢
社会
がれきの街 病院は停止
パレスチナ自治区ガザで医療支援に当たっていた大阪赤十字病院の看護師、川瀬佐知子さん(45)が17日、日本記者クラブで記者会見し、現地の状況について語った。
ガザの写真を映し、現地の状況について話す川瀬佐知子さん(手前)(17日、東京都千代田区で)=上甲鉄撮影
川瀬さんは7月、日本赤十字社からガザのアルクッズ病院(210床)に派遣され、看護技術の指導をしていた。同病院は、イスラエルが「ハマスの司令部がある」として重点的に攻撃するシファ病院の近くにある。馬車やヤギが行き交う街は10月7日の戦闘開始で一変した。
いったんガザ地区内のシェルターに避難し、派遣先の病院に向かう準備をした。しかし、周辺の建物は爆撃で倒壊し、破片も散乱している。看護部長から「こんな危険な所には来ないでほしい」と押しとどめられた。運び込まれた患者が、すでに死亡している我が子だと気づいた同僚の医師もいたという。
ガザ南部ラファに避難した川瀬さんは、負傷した住民らの傷の処置や、パニック発作に陥った女性らの心理的なケアにあたった。
11月1日に退避のためエジプトに越境する前、同僚から電話でこう言われた。「自分たちがどんな悪いことをしたの? 本当にミゼラブル(惨めで不幸)だ」。返す言葉がなかった。
今月12日、燃料不足でアルクッズ病院の機能は停止。14日には重傷患者を含め、南部への退避を余儀なくされた。
川瀬さんは記者会見の途中、何度も声を詰まらせた。「ガザに戻りたいか」と問われると、「複雑な思い」と声を落とし、「現地の状況を伝えることが、私にできること。今この瞬間も負傷者は増え続けている」と訴えた。